戦前より続く博多の名店

〈二葉亭〉の歴史は戦前まで遡り、旧博多駅前からスタートしたのだそうです。そして博多デイトスの創業にともないラーメン店をオープン。駅東店とあわせて営業を続け、現在はその二店舗を統合し、戦前の流れを汲むお店としてこの「二葉食堂」が営業しています。〈二葉亭〉のラーメンはデイトス店も駅東店も長く愛されたお店で、その美味しいラーメンは何度となく筆者もいただいたものです。
この「二葉食堂」は、その〈二葉亭〉の伝統のラーメンはもちろん、お昼はうどんにそばに丼ものなど豊富な定食の数々、そして夜は呑み処として一品メニューにお酒も楽しめるお店なのです。

店内はまさに大衆食堂の佇まいです。木で作られたカウンター席とテーブル席。お昼でも夜でも楽しめそう。そしてメニューがとにかく豊富。ランチのメニューもさることながら、夜の一品メニューの数もすごい。吞み処として昔ながらのメニューが楽しめるのも良いものですね。
そして〈二葉亭のからしたかな〉といえばこれもまた有名。以前のラーメン店ではフリーでいただける時代もありましたが、現在は持ち帰りやネット販売でも購入できるようです。この辛子高菜もまた二葉亭の歴史を受継ぐ伝統の味。もちろん二葉食堂でも購入することができます。辛さの効いたオリジナルの、辛子高菜の味わいがまた絶品なのです。

小牛丼とラーメン

今となっては、懐かしき〈二葉亭〉のラーメンが味わえるのはここだけ。やっぱり豚骨ラーメンをいただきたい。豚骨メニューにもキクラゲやもやしに焼豚などトッピングも様々。そこに牛丼や明太子、カレーなどの小丼がセットにできるメニューが最高です。他のカツ丼やうどんにそば、定食メニューも気にはなるのですが、やっぱりこれでしょう、小牛丼とラーメン。

これがあの〈二葉亭〉のラーメン。このゴマがたっぷりのシルエット。茶褐色のスープにネギとチャーシューが浮かぶ。この懐かしさのあるラーメンは最高なのです。シンプルな昔ながらの博多ラーメンですね。

結構カエシの味と塩味が効いた味。これがほんとに美味い。決して濃くなく重くなく、さっぱりといただけるラーメン。少し焼き目がついた、この旨味あるチャーシューも懐かしい味なんですね。豚骨の風味も良く、程よい濃度で仕上がっています。

中太くらいのサイズでしょうか。一般の博多ラーメンよりは太めに仕上げたストレート麺。小麦感を感じコシもある麺。スープと絡めると食べ応えもあり美味しい。この麺もまた博多の定番とは一線を画す独特さなんですよね。

可愛く小さな器の小牛丼。牛肉に玉ねぎは一般的な牛丼、そこにネギを絡めているのが良き味わいになるんです。タレの味わいも良く、もう少し食べたいと思うサイズ感も、ラーメンのお供に良き演出をしてくれます。

壁面にはオリジナルの壁画も飾られます。このカウンターと上に並ぶメニューの数々。この大衆感が気兼ねなく訪れることができる雰囲気ですね。ランチタイムも美味しくいただけるのですが、夜にカウンターで軽く一杯いただきながらも、とても良き雰囲気です。

看板には、うどん・そば・定食と書かれ、大衆食堂感は満載ですがラーメンをいただけるとは思えない雰囲気。しかし、あの博多で一世を風靡した伝統の博多ラーメン、その一杯を味わえる唯一のお店。何を食べようか迷ってしまう程、美味しそうなメニューがズラリですが、やはりラーメンは一度味わってほしいものです。そして、名物の絶品辛子高菜もぜひ味わってほしいものです。

呑み処 二葉食堂