100年間未解決…「勝手に動く巨石」の謎がヤバイ
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「ひとりでに動く石の謎が解明」というテーマで動画をお送りしていきます。
みなさんは、まるで生命が宿ったように、ひとりでに地面を滑るように動く石があることをご存じでしょうか?
その石は、直径15cm程度の小さいものから、一般人には動かすことができない270kg程度の巨大な岩もあります。
そんな奇妙な動く石の正体は一体何なのか。
1915年に発見され、1948年から科学者による研究が行われるようになって以降、未解決の謎として残り続けていました。
しかし2014年、アメリカの研究者らにより、解明できずにいた動く石のメカニズムの謎が、石の発見から99年の時を経てついに解明されました。
●動く石の謎
1915年に鉱山労働者によって、動く石の存在が判明しました。
発見された場所はアメリカのデスバレーで、カリフォルニア州とネバダ州にまたがる盆地です。
デスバレーは世界で最も暑い場所として有名であり、ここで記録された世界最高気温は56.7度で、まさに灼熱の場所です。
画像にあるように、デスバレーの泥の上に長く引きずられたあとが残っていることが、石が動いたという証拠です。
引きずられたあとは、長いものだと、約1kmの軌跡を描いていました。
動く石は、約500個ほど確認されており、直径15cm程の小さいものから、約270kgの大きい岩まで様々です。
発見された箇所は下り坂でもなく、人間や動物の足跡もありませんでした。
1948年以降、多くの科学者がこの不可解な謎の解明に挑みました。
しかしこの石が動くのは平均的には2,3年に一度、中には10年以上も全く動かないものもあるほど、極めて珍しい現象です。
そのため研究は難航しました。
「ハリケーンによる強風」、「洪水」などあらゆる要因が提唱されましたが、動くメカニズムを実証するにはどれも今一つの内容であり、遂には「宇宙人の仕業である」と言われることもありました。
●石が動く3つの要素
そんな中、最初期の研究から約60年続く謎に終止符を打ったのが、カリフォルニア大学のスクリップス海洋研究所の研究者たちでした。
2011年、研究者たちは、複数の石灰石の塊にGPS発信機を取り付けて、動く石が観測される現場に放置し、粘り強く観測を続けました。
その結果、2013年12月4日と、同年12月20日に、実際に多くの石が滑るように動く現場を、世界で初めて目撃することに成功したそうです。
彼らは実際の石の動きを見ることで、そのメカニズムを知ることができました。
具体的なメカニズムには、3つの段階があることが提唱されています。
まず初めに、画像の①のように、激しい雨によって乾燥地帯のデスバレーに巨大な水たまりができます。
次に、画像の②のように、夜に低温になると水の表面が一晩のうちに凍ります。
その翌朝、水たまりの表面の氷は朝日で溶け始め、割れ始めます。
そして何枚もの氷の破片が、窓ガラスのように石の周りにできあがります。
最後に画像の③のように、風速3~4.5m程度の微風が吹くと、氷の破片が石の動きの上流側にたまります。
氷の破片の質量が増加し、石に一方向から力が加わることで、石が濡れた地面の上を移動し始めます。
結果的に、デスバレーの地に石が動いた軌跡が残る、という流れです。
こちらは2014年に撮影された、実際に石が動く瞬間のタイムラプスをまとめた画像です。
奥にある青い矢印で示された石が動かない石、そして手前の赤い矢印で示された石が、動く瞬間が見つかった石です。
手前の石の下には周囲一帯の水たまりよりも色が濃い領域が見えますが、これは表面の薄い氷の層です。
このような条件下で微弱な風が吹くと、石は流れるように移動していきます。
このように、凍った周囲一帯の石が風に吹かれることで流されるように動いていくメカニズムから、どの石も一定の方向に動いていくことが説明できます。
石の動く速度は毎分2~5mという低速であると判明しました。
氷が分厚すぎると、風が吹いても氷の破片が石の片側にたまりません。
また、風が強すぎても、氷が石の片側で簡単に砕け、これまたたまりません。
そして地面にたまった水が多すぎても、石は動きません。
このように、この現象は水、氷、風の3つの要素が絶妙なバランスで成り立った時だけしか起きません。
そしてそもそもデスバレーは年間降水量が50mm以下の乾燥地帯で、雨が降ること自体が珍しいものです。
このようにいくつもの稀な条件が揃ったときだけ観測できる現象であるからこそ、最初の発見から実に99年間も謎であり続けた、というわけです。