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11年2億8000万ドルの契約を交わしている二塁手の離脱は、パドレスにとって痛手なのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザンダー・ボガーツ(左)とハソン・キム May 20, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月22日、ザンダー・ボガーツ(サンディエゴ・パドレス)は、前日まで遡って故障者リストに入った。

 5月20日の試合で、打球に飛びついた際に、左肩の骨にひびが入った。バウンドした打球を捕ったものの、送球はできなかった。上の写真は、その直後だ。サンディエゴ・ユニオン-トリビューンのケビン・エイシーは、手術は不要、復帰は晩夏になるだろう、と報じている。

 2022年のシーズン終了後、ボガーツは、ボストン・レッドソックスからFAになり、パドレスと11年2億8000万ドルの契約を交わした。昨シーズンは、レッドソックス時代と同じく遊撃を守り、打率.285と出塁率.350、19本塁打と19盗塁、OPS.790を記録した。

 今シーズンは、ハソン・キムとポジションを入れ替わり、二塁を守っていた。打率と出塁率は.219と.265、ホームランと盗塁は4ずつ、OPSは.581だ。5月12日以降の26打席は、25打数8安打(打率.320)、2本塁打ながら、復調と謳うにはサンプル数が少ない。

 ボガーツの離脱は、今のところ、パドレスにとって大きな痛手にはならないはずだ。

 ボガーツに代わる二塁手には、今月4日にマイアミ・マーリンズから移ってきた、ルイス・アライズがいる。トレードで移籍後は、DHとして出場することのほうが多かったが、マーリンズではレギュラーの二塁手だった。アライズのバッティングについては、こちらで書いた。

「首位打者の「本命」が8試合続けてマルチ・ヒットを記録し、トップの大谷翔平に着々と近づく」

 アライズが二塁を守ることで、DHは、これまでよりも流動的になる。他のポジションのレギュラー以外では、どちらも36歳の右打者と左打者、ドノバン・ソラーノデビッド・ペラルタの出場が多くなりそうだ。2人とも、開幕後にマイナーリーグ契約でパドレスに入団し、それぞれ、5月5日と22日にメジャーリーグへ昇格した。

 ソラーノは2020年、ペラルタは2018年に、シルバースラッガーを受賞している。当時ほど打てなくても、今シーズンのボガーツと比べれば、マイナスよりもプラスになる可能性のほうが高い。

 昨シーズンは、ソラーノが450打席で打率.282と出塁率.369、5本塁打、OPS.760、ペラルタは422打席で打率.259と出塁率.294、7本塁打、OPS.675。今シーズンの昇格後は、ソラーノが23打数8安打(打率.348)、ペラルタは6打数3安打を記録している。こちらのサンプル数もわずかだが、少なくとも、好スタートを切った。

 もっとも、今回の離脱は痛手にならなくても、今シーズンの復帰後、あるいは来シーズン以降もボガーツが復調できないと、パドレスは大きな損失を蒙ることになりかねない。ボガーツの契約は、2033年まで続く。年俸は2500万ドルずつだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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