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スラッガーと菊池雄星を手に入れたエンジェルスが、続いて補強すべきポイントは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホルヘ・ソレーア Oct 2, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ロサンゼルス・エンジェルスは、積極的に動いている。トレードにより、DH&外野手のホルヘ・ソレーア(←アトランタ・ブレーブス)と内野手のスコット・キンガリー(←フィラデルフィア・フィリーズ)を獲得。FA市場からは、先発投手の菊池雄星カイル・ヘンドリクス、捕手のトラビス・ダーノー、内野手のケビン・ニューマンを迎え入れ、アスレティックスがウェーバーにかけた一塁手のライアン・ノーダも入手した。

 なかでも、ソレーアと菊池は、大きな補強だ。例えば、今オフのFAのうち、クリスチャン・ウォーカーはここ2シーズンに59本塁打と出塁率.334、アレックス・ブレグマンは51本塁打と出塁率.341を記録している。ソレーアの数値は、この2人とほとんど違わない。57本塁打と出塁率.340だ。また、ここ2シーズンに300イニング以上を投げた46人のなかで、菊池の奪三振率10.14は4番目に高い。

 もっとも、11年ぶりのポストシーズン進出――あるいは「最もポストシーズンから遠ざかっているチーム」という称号の返上――に向け、メンバーは揃った、とはまだ言い難い。

 現時点における、ローテーションの1番手から4番手は、菊池、ホゼ・ソリアーノタイラー・アンダーソン、ヘンドリクスだろう。2024年に100イニング以上を投げた126人中、彼らの防御率は、75位(4.05)、33位(3.42)、64位(3.81)、124位(5.92)。FIPは、29位(3.46)、48位(3.80)、105位(4.66)、121位(4.98)に位置する。FIPは、フィールディング・インディペンデント・ピッチングの略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。少なくともあと1人、2番手か3番手として計算できる投手が必要な気がする。

 ブルペンは、先発投手からクローザーのベン・ジョイスまでの間をつなぐ「ブリッジ」が不透明だ。2024年にエンジェルスで二桁のホールドを記録した3人のうち、ルイス・ガルシアは夏のトレードでボストン・レッドソックスへ移り、ハンター・ストリックランドマット・ムーアはオフにFAとなった(ガルシアもFA)。エンジェルスには、10ホールド以上だけでなく、40試合以上に登板した投手も、この3人以外にはいなかった。

 内野は、反時計回りに、ノーラン・シャヌエルルイス・レンヒーフォザック・ネットアンソニー・レンドーンと予想される。右肩の手術を受けたネトは、開幕には間に合わない。その間の遊撃はニューマンが守るにしても、レンドーンがレギュラーというのは、無理がありそうだ。2021年以降は、4シーズンとも100試合以上に欠場している。全盛期のレンドーン――2017~20年は4シーズンとも欠場30試合未満&OPS.900以上――ほどでなくてもいいので、レギュラーもしくは準レギュラークラスの三塁手か二塁手が欲しい。二塁手を加えるのであれば、レンヒーフォは三塁を守る。キンガリーは、元プロスペクトだが、ここ2シーズンのメジャーリーグ出場はない。

 外野は、マイク・トラウトがセンターのままなら、レフトとライトは、テイラー・ウォードジョー・アデルとなる。トラウトがレフトかライトに移る場合は、アデルがセンターだろう。ミッキー・モニアックも、センターを守ることができる。捕手の2人は、ローガン・オホッピーとダーノーで決まりだ。

 先発投手とセットアッパー数人に、三塁か二塁を守る内野手。ネトやシャヌエルと同じように、今年のドラフトで全体8位に指名したクリスチャン・ムーアを早々とメジャーデビューさせ、二塁に据える手もあるが、補強すべきポイントは少なくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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