上司から信頼を勝ち取っていない人へ!「会話のズレ」を補正する「ズレリセット」3か条
■会話のズレに気づいているか?
オンラインの時代になり、以前よりもはるかに「会話の精度」が求められるようになった。会話効率は作業効率より10倍も20倍もビジネスの生産性に関わるからだ。「会話のズレ」を見つけたら、そのズレはしっかりと補正していかなければならない。
たとえば上司と会話していて、こんなことはないだろうか。
「あれ? 資料を印刷して会議室に持ってこいと言ったつもりだが」
「え? てっきり課長が用意してくれるものと思っていました」
デートでは、よくある話だ。
「あれ? 忠犬ハチ公の前で待ってると言ったつもりだけど」
「え? いつものモヤイ像の前だと思ってた」
このように「つもりだった」「てっきり●●だと思ってた」という表現が出てきたら、会話がズレている証拠。すれ違いが発生しているのだ。
どうしてこんなことが起こるのだろうか。そしてどうやったら防ぐことができるのだろうか。
(参考記事:■対人関係で悩みを抱えているあなたへ 会話の中の小さなクセを治すだけで対人関係が激変する7つのルール)
■会話がズレるとどうなるのか?
会話がズレると、知らぬ間に信頼を失ってしまう。
たとえ自分の責任でなくても、相手から「なんかわかってない」「なんか詰めが甘い」などとレッテルが貼られてしまう。
厄介なのは、一度レッテルが貼られると、なかなかはがすことができないことだ。
だから、会話がズレないように細心の注意を払っていこう。最初にやるべきことは、上司やお客様など、日ごろから接している人と良好な関係ができているかどうか。気づくところから始めてみる。
■こんなこと言われてないか? 相手の口ぐせに注意する
相手から信頼されているかどうか。それを見極めるには、相手の口ぐせに注意することだ。
たとえば次のようなことを言われていたら要注意。すでにレッテルを貼られているかもしれない。いくつかの例を紹介しよう。
「あの件、どうなった?」などと相手からイチイチ確認される。
「ちゃんと話聞いてる?」「大丈夫?」などと心配される。
「それは自分で聞いてくれないか」と言って相手から避けられる。
「ま、それはおいといて……」と言って、話している途中に遮られる。
「がんばってるのは認めるけど」と言って、なかなか評価してもらえない。
このようなことに身に覚えがあったら、日ごろから会話がズレているかもしれない。すぐにでも会話のズレを補正していこう。
■会話がズレる理由
会話がズレる理由は、どちらかが「ぼんやり」とした話し方をするからだ。あいまいな表現、抽象的な言葉を使ってコミュニケーションをしていると必ず会話はズレてくる。
視界がぼやけて、的外れな会話をしてしまうものだ。
上司から「徹底しよう」「積極的にいこう」「この調子でいい」と言われないだろうか。しかしこのように「ぼんやり」と言われても、具体的にどうしていいかわかる人は少ないはず。
お客様から「当社に合った提案を」「できる限りはやくお願い」「決め手に欠けるなあ」と言われても、どこに焦点を合わせればいいかわからない人が大半ではないか。
このように、相手の言い方が「ぼんやり」していると、聞いている側の頭はクリアにならない。
■会話のズレを生む3つのパターンを知っておこう
会話のズレを補正するには、その原因となる3つのパターンを覚えておこう。そのパターンとは次の3つである。
(1)反射
(2)思い込み
(3)知識不足
(1)反射
反射とは、相手の話を聞いたあと反射的に答えてしまうことだ。誰だって経験はある。
「なるはやでお願いね」と言われたら「なるはやでやります」と反射的に答えてしまう。
「わかった?」と聞かれたら「わかってます」と反射的に答えてしまう。
反射的に口にしてしまうので、確認するタイミングを失ってしまう。
(2)思い込み
思い込みがあると認識のズレが生じてしまう。では反射のケースと何が違うのか。比べてみよう。
反射のケースは、こうだ。
「仕事に役立つ勉強をしてほしい」
「わかりました。そうします」
「ところで仕事に役立つ勉強って何かわかる?」
「あ、いや。実はわかってません。教えてください」
反射のケースだと、話し手も聞き手もすぐ気づくことが多い。いっぽう思い込みのケースは、話し手が確認してもズレを治せない。
「仕事に役立つ勉強をしてほしい」
「わかりました。そうします」
「ところで仕事に役立つ勉強って何かわかる?」
「もちろん、わかってます」
聞き手が思い込んでいるせいで、認識がズレていたとしてもその場ではわからない。だから聞き手が確認しないと、なかなか認識のズレを補正できない。
(3)知識不足
知識不足は厄介だ。知識がないと、そもそも聞き取ることが難しい。聞き間違えてしまうと、補正することもできない。
以前「このプロジェクトにアサインしてもらえませんか」とお客様に言われ、社内の「浅井さん」に連絡した新人がいた。「アサイン」の意味がわからなかったから「浅井さんという方をプロジェクトに呼べということ」と勘違いしたのだ。
このように聞き間違いをしていると、確認しようがない。
基本的なビジネス用語、業界用語は覚えるべきだが限界がある。失敗しながら覚えるしかない。
■1分でズレを治す!「ズレリセット」3か条
会話がズレる3つのパターンを理解できたら、どのようにズレを補正するのか。「ズレリセット」3か条を紹介する。
①その場で確認!
ズレ補正でいちばんカンタンで効き目があるのは、その場で「確認する」ことだ。
「とりあえずやってみます」「いったん取り掛かってみます」と言って「持ち帰るクセ」はやめよう。会話がズレる原因になる。
②具体化しよう!
確認するときは、数字と固有名詞を意識する。ついつい「つもりでした」「もっと具体的に言ってくれたら」と不満を覚える人は、この2つを意識して質問と確認をしてみるといい。
③常識はメモろう!
まだ慣れない時期であれば、世間の常識、その業界、職場独特の文化を知らないもの。
事前に覚えておくことは重要だが、限界がある。なので逐一メモをとって覚えるようにしよう。
■まとめ
会話のズレを補正するために最も意識すべきことは「確認」だ。「確認グセ」をつけていこう。
「ぼんやり表現」を丁寧にひとつひとつ具体化していく。この確認作業が会話のズレを補正してくれる。あいまいな表現をよく使う上司、お客様には、この確認グセが力を発揮する。
ぼんやりとしたレンズを「確認タオル」で拭いていくイメージだ。丁寧に確認してお互いの視界をクリアにしよう。そうすると「的外れ」なことは減っていく。