義理チョコ、本命チョコより自分用。日本のバレンタインを変えた名古屋「アムール・デュ・ショコラ」が開幕
百貨店のバレンタイン催事の先駆けとして2001年にスタート
ジェイアール名古屋タカシマヤの「アムール・デュ・ショコラ」は国内最大級のチョコの祭典。今年で23回目となるこのビッグイベントが、1月19日(木)~2月14日(火)にわたって開催されます。
(「アムール・デュ・ショコラ」の歴史や魅力はこちらを→「バレンタイン売上日本一! 名古屋で開催の世界屈指のチョコの祭典」:2019年1月28日)
イベントの始まりは2001年。当時の百貨店のバレンタイン催事は、地下の食料品売り場や婦人服フロアの一角を使った小規模のものが一般的でした。前年にオープンしたばかりだった同店は、全国に先駆けて催会場を使った大々的なバレンタイン催事を開催。この流れは全国に広がり、百貨店のバレンタイン催事は業界の定番企画となりました。
その中でも先駆者である「アムール・デュ・ショコラ」のスケールは圧巻です。昨年はコロナ禍でありながら24億円を売り上げ(過去最高は2020年の32億円)、55万人以上が来場。今年は約150ブランド、約2500種類の商品が集結します。
スゴいのは数字だけではありません。世界中のスターシェフが顔を揃え、連日店頭に立ってイベントを盛り上げます。しかもこのイベントのために開発された新商品、限定商品もズラリ。質、量ともに世界最高峰のチョコイベントといえるのです。
日本のバレンタイン観の変化の裏に「アムール~」あり(!?)
「アムール・デュ・ショコラ」の開催に先駆け、ジェイアール名古屋タカシマヤはバレンタインに関するアンケートを実施。約2500名の回答から得られた“令和のバレンタイン観”には、昭和~平成からの興味深い変化が見られました。
ジェイアール東海高島屋 「2023バレンタイン意識調査」
これらの結果から見えるのは、バレンタインが女性を中心に“自分が楽しむためのイベント”になっていること。昭和~平成にかけて主流だった恋活の勝負プレゼント、会社での人間関係の潤滑油、といった要素は完全に薄れつつあります。アンケートは主に名古屋の消費者を対象としたものですが、同様の傾向は全国的にみられるものでしょう。
こうした近年の傾向の背景に、女性客をメインターゲットとしたグルメテーマパーク的提案を続けてきた「アムール・デュ・ショコラ」の影響があったことは間違いないのではないでしょうか。
スペシャルプレビューで熱気を体感!
開幕前日の1月18日には当選者限定のスペシャルプレビューが開催。およそ3800人が訪れ、会場は早くも熱気に包まれました。
来場者の声を拾ってみると、お気に入りのブランドの商品を予算を気にせず積極的に購入する、という声が目立ちました。
「毎年来ています。普段は買えないブランドの商品を手に入れられるのが魅力。自分用とお友達への贈り物用、あとは頼まれていたものを買いました。今日の購入額は3万円くらいです」(名古屋市内の30代女性)
「普段からチョコはよく食べますがここでは特別なものが買える。8種類くらい買いましたが総額は分かりません」(名古屋市内の30・40代のご夫婦)
「初めて来ました。お目当てはオードリー。10万円分くらい買ったかも…?」(愛知県岡崎市の30・40代の女性2人組)
担当者インタビュー! 今年の目玉企画、商品の傾向は?
さて、今年の「2023 アムール・デュ・ショコラ~ショコラ大好き」。その特色や楽しみ方、さらには近年の来場者の動向から見る名古屋らしさは…? 気になるあれこれをジェイアール名古屋タカシマヤ広報の村上由夏さんにお聞きしました。
――「2023 アムール・デュ・ショコラ」、今年ならではの新しさは?
ジェイアール名古屋タカシマヤ・村上由夏さん(以下「村上」)「アムール・デュ・ショコラの特徴ともいうべきランキングが新しくなります。2012年に導入した売上ランキングボードは、前日の売上順位を毎日発表するもの。お客様の購入の参考にと始めたのですが、これがブランド間の競争意識を高め、シェフが毎日店頭に立ったり、より魅力的な商品を投入したりと、イベントの盛り上がりやクオリティをいっそう高めることにもつながりました。今年はお客様の投票を加味する新方式を採用。店頭の二次元コードを読み込んで投票できるので、皆様の“推し”をより反映させられます。“共感”を重視し、お客様と一緒につくっていくランキングになっています」
――特徴的な商品はどんなものがありますか?
村上「アムール・デュ・ショコラ限定、または先行発売の商品がおよそ100種類。各ブランドがこのイベントを特別なものだととらえてくれ、ここでしか買えない商品は年々充実しています。“幻のカカオ”と呼ばれるホワイトカカオを使ったスイーツ、スターシェフがいちごを使って創作した『いちごチャレンジ』も今年の新企画です」
――イベント全体の商品の傾向、特徴は?
村上「第一にチョコ菓子が豊富。チョコと焼き菓子を組み合わせたような親しみやすいお菓子が多数取り揃えられています。日本人はもともとこのタイプの商品を好み、“本格派のチョコはちょっと苦手”という方を含めより幅広い層の方々に楽しんでいただけます。第二によりこだわりのある本当においしいモノの充実。コロナ禍によっていいモノをしっかり選ぶという消費動向が強まり、その心理に応える商品が増えています。第三に“映える”“かわいい”もよりおいしく。名古屋では分かりやすいかわいらしさが好評で、今年もその傾向は進んでいますが、かわいらしさとおいしさを両立させた商品が増えています」
男性客は深掘り志向。県外ファンの回帰にも期待
――男女比や購入スタイルなど、来場者の近年の傾向はありますか?
村上「かつてのバレンタインデーは、女性から男性にチョコを贈るイベントでしたが、アムール・デュ・ショコラは男女問わず本当においしいものを求めるグルメのテーマパークのような場になっています。男性も年々増えています。男女比では1:9くらいなのですが、男性は熱心に探究する方が多く、予算10万円という方もいらっしゃるくらいです。また、昨年、一昨年はコロナ禍で入場者制限を行ったため人出は減ってしまったのですが、昨年の売上は過去最高だった2020年の32億円のおよそ8割にあたる24億円。例年は毎日のように来店していた方が回数をしぼり、その分1回あたりたくさん購入されるケースが多かったと感じます。また、例年は北海道から九州まで遠方からのお客様もいらっしゃるのですが、コロナ禍においてはご来店を控えられた方も少なくなかったはず。今年はこの2年間我慢されていた県外の熱心なファンの方が戻って来てくれるのでは、と期待しています」
オンライン限定商品も。デジタルカタログやSNSでの予習は必須
――アムール・デュ・ショコラの上手な楽しみ方のアドバイスをお願いします
村上「今回初めて『開店前優先入場券』をご用意しました。ローソンチケットでの事前予約制(無料)で10時のオープン前にご入場いただけるので、お目当てのブランドのショップへスムーズに行くことができます(買い物は10時~)。また、毎回大行列ができるイヴァン・ヴァレンティンは全商品がオンラインでの事前購入制になり、現地でご購入はできません。その他の数量限定販売の整理券配布商品も同様にオンライン事前購入制になっています。ブランドなどによって販売法が異なるケースもありますし、何よりおよそ150ものブランドがあるので、事前にしっかりカタログ(HPにデジタルカタログあり)に目を通しておくことをお勧めします! SNSの公式アカウントもあるので、こちらで情報収集していただくのも有効です」
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バレンタインデーはテーマパーク志向、グルメ志向が年々高まっていて、ジェイアール名古屋タカシマヤの「アムール・デュ・ショコラ」はその流れをけん引してきた存在です。これはすなわち自分のために、自分らしく、チョコを楽しむ人が増えているということ。自分や身近な人との時間を充実させたい今時のライフスタイルにマッチしているといえるでしょう。かくいう筆者は、お酒に合う燻製チョコを購入しました。皆さんも、「アムール・デュ・ショコラ」で自分の嗜好や暮らし方に合ったチョコを見つけて、お楽しみください。
(写真撮影/すべて筆者)