あおり/あおられ運転抑止装置は、今ある技術で実現できる、というお話。
あおり運転が注目を浴びてから数年が経ちますが、相変わらずなくならないようで、今でもときおりニュースを目にします。こうしたニュースのコメントで目立つのは、「あおられるほうにも原因がある」ということ。だからといって、あおり運転が正当化されるわけではないのですが、原因もないのにあおり運転をするというケースはあまりないということは、言えるのではないかと思います。
あおられ運転の原因を減らす装置は今すぐ作れる!
あおられる原因として、よく挙げられるのが、高速道路の追い越し車線を制限速度以下で走り続けるケースです。では、こうした運転を防ぐことはできないのかというと、すでに実用化されている技術を使って、作ることができるのです。
現在、多くの新車に搭載されている運転支援システムには、フロントガラスの上部にカメラが付いており、これで前方を認識しています。最新のものは、車線や道路標識を読み取ることができます。
ということは、自車が高速道路を走っているかどうか(一般道の最高速度はごく一部を除いて70km/h以下なので、80km/h以上の制限速度標識があれば、高速道路であると判断できます)、どこの車線を走行しているか、自車の前方に走行車両があるかどうかは、カメラの画像情報から把握することができます。さらに、自車の速度はスピードメーター(車輪の回転速度センサー)から得ることができます。
となれば、①高速道路走行中で、②追い越し車線を走行しており、③前方に走行車両がなく、④走行車線に車線変更するスペースがあり、⑤制限速度以下で走行している、という条件が揃ったときに、ディスプレイに「安全を確認して走行車線に移りましょう」とメッセージを出すことができるはずなのです(後方にレーダーが付いているクルマなら、後続車が接近しているかどうかの情報も利用できます)。
こうして告知することによって、あおり運転の原因事象は、ひとつ減らすことができるはずです。
あおり運転を抑制する装置も、今の技術で作れる!
では、あおり運転を抑制する装置は作れないのかといえば、原因を限定すれば、不可能ではありません。
あおり運転の原因のひとつに、強引な割り込みがありますが、前方にクルマが割り込んで来たかどうかは、カメラの映像からわかります。その際にドライバーが強いブレーキを踏んだかどうかは、Gセンサーから得ることができます。
もしも、割り込み車両があり、その際にドライバーが急ブレーキを踏んだと判断された後、車間距離が速度不相応に詰まったり(カメラの情報からわかります)、加減速Gが不自然に高くなったり、ハンドル操作が荒くなったりした場合、「あおり運転をしているのではないか」ということは推測できます。こうした状態が長く続いた場合、ディスプレイに「イライラしていませんか?」と表示すれば、一時的にカッとなっただけのドライバーなら、冷静さを取り戻すことができるはずです。
もちろん、悪意を持ってあおったり、一度、頭に血が上るとなかなか収まらないような人には効果は期待できませんが、今ある技術でできるのですから、自動車メーカーにはぜひ実用化を検討していただきたいものです。