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アスリートの盗撮動画をネット販売 なぜ名誉毀損罪か?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 元女子バレーボール選手の盗撮動画をインターネット上で販売していた男が千葉県警に逮捕された。名誉毀損罪という、この種の事件では異例の罪名に基づく立件だった。

どのような事案?

 男は、2018年から今年3月にかけ、アダルト動画などの販売サイトに20代の元女子バレーボール選手の盗撮動画を公開し、1本1200円で販売していた。この動画は、試合前の準備運動や試合中の様子を赤外線カメラで盗撮したもので、ユニフォーム越しに下着が透けて見えていた。

 男は、販売にあたって「この作品は盗撮風動画です」というコメントを付けており、同様の動画を含め、40本以上販売していた。警察のサイバーパトロールで発覚し、男は容疑を認めているという。ほかのサイトでの販売分と合わせ、約600万円の売上があった模様だ。

「盗撮禁止法」はない

 昨今、アスリートをターゲットにした盗撮行為や、ネット上での動画・画像の拡散が社会問題化している。試合会場で盗撮に及ぶ者がいれば、現場で証拠や身柄を押さえるのがベストだ。しかし、今のところ、わが国には盗撮そのものを全国一律で規制する「盗撮禁止法」といった法律など存在しない。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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