議会軽視の安倍政権はさながら「超然主義」を唱えた薩長藩閥政府
フーテン老人世直し録(210)
弥生某日
民主党と維新の党が合流する新党の名前が「民進党」に決まった。民主党側が「立憲民主党」を提案し、維新の党が「民進党」を提案して世論調査を行った結果、「民進党」の支持が高かったのだという。
フーテンは新党が安倍政権と真っ向から対峙するのなら、日本の近代政治史の中で薩長藩閥の官僚支配に対抗した自由民権運動から「民権」を頂き「民権党」にしてはどうだろうと個人的には考えていた。
安倍総理が長州の出身だからという訳ではないが、第二次政権誕生以来の安倍政治を見ていると議会軽視の姿勢がはなはだしい。それは「超然内閣」と称して議会が何を言おうが聞く耳を持たなかった明治の薩長藩閥政治を想い起させる。特に昨年の安保法制に関わる国会審議は歴史に汚点を残すものだったとフーテンは思う。
以前から書いているようにフーテンは憲法改正論者である。広島、長崎への原爆投下や大都市への無差別爆撃に対する報復を恐れた米国が、日本を永久支配するために作った欺瞞に満ちた米国製平和憲法に代わり、日本人が自らの頭と自らの手で日本製平和憲法を作るべきだと考えている。
しかし昨年に安倍政権が行った集団的自衛権の行使容認はまるで日本の自立とは真逆で、米国議会に媚びへつらう一方、自国の国会審議では意味不明の答弁を繰り返すだけで、全く国民の声を聞こうとせずに法案を強行可決した。
議会には内閣をチェックする機能がある。特に多数党が内閣を組織する議院内閣制の場合は野党の少数意見を聞くようにしなければ議会の存在理由がない。従って選挙で多数になったから多数決で押し切るという政治を議院内閣制の英国では決して行わない。少数意見を取り入れ修正を施すところに議会の意味はあるのである。
ところが安倍政権のやり方はまるで英国議会とは異なる議会軽視のやり方だった。こんな政治をフーテンは見た事がない。あるとすれば薩長藩閥政府の「超然主義」の時代にさかのぼるのではないかと思った。
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