「在宅勤務する」と言いながらスタバで仕事する若者たちが理解できていないこと
「在宅勤務と言っておきながら、スタバにいるじゃないか!」
「え、何が問題ですか?」
在宅勤務が新しい働き方として浸透している今日、多くの若者もオフィスではない場所で働くことを望んでいる。
ところが在宅勤務だと申請しているのにもかかわらず、カフェで仕事をする若者もいるようだ。その中でもスターバックスは、その代表的な場所だ。自宅だと片付けが必要だったり、家族の存在が集中を妨げることもある。
しかしスタバのような場所なら、おしゃれな空間でコーヒーの香りに包まれながら、リラックスして仕事に取り組むことができる。
「スタバのほうが仕事の生産性が上がります」
と若者は言うそうだが、私は気になることがある。社会人になったばかりで、リラックスしないと生産性が上がらない仕事がそんなにあるのだろうか? 単に、「スタバで仕事する自分」に酔っているだけではないのか? と。
■自宅以外で在宅勤務してはいけない理由
在宅勤務(テレワーク)を「自宅に限定」している企業は多い。
セキュリティの懸念、勤怠管理や安全管理、業務の進捗が見えにくいなど、自宅以外での在宅勤務にはいくつかの問題があるとされる。
ただ自宅ならいいのか、というと私はどっちもどっちだと考えている。自宅なら本当にセキュリティ対策は万全なのか。そして勤怠や作業の進捗状況の管理も、自宅は「OK」でスタバは「NG」という理由にはならないだろうと思う。
どこかで線引きをしておかないと、モラルハザード(道徳的節度を失くすこと)になってしまうから、「自宅以外は禁止」としているのが、本当のところではないか。
■若者にそれほどクリエイティブな仕事はない
私が気になっているのは、冒頭に書いた通りだ。
「コーヒーの香りを嗅ぎながら、おしゃれな空間で仕事をしたほうが生産性が上がる」
と言いながら、実際はどんな仕事をしているのか。パソコン上で軽く仕事ができることといったら、
・メール処理
・資料作成
・勤怠や交通費精算などの処理
ぐらいか。
プログラミングやデザイン処理、映像編集といった作業なら、スタバで小気味いい感じでできるはずがない。資料や専門書を手元に置いてがっつりやる必要があるためだ。
もちろん、オンラインミーティングに参加することもできない。
そもそも社会人になったばかりの若者にとって、クリエイティブな仕事に就くことはそう多くない。たいていの場合、データ入力や資料作成など、比較的単調な作業だろう。
この場合、上司はどうしたらいいのか。新刊『若者に辞められると困るので、強く言えません』に詳しく書いた。
(1)叱る
(2)注意する
(3)指摘する
のイフゼンルールのうち、インパクトをかける必要はない。なので、頭ごなしに叱るのではなく「注意する」ぐらいでいいだろう。
指摘するぐらいでは「別にいいじゃないですか。スタバで仕事をしても」と反論される可能性がある。組織と集団の違いを正しく伝え、納得感があるかどうかではなく、まずはルールを守ることの大切さを説いていかなければならない。