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地球が天の川銀河内の「ある場所」を通過すると、地球環境に異変が発生!?

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「天の川銀河の渦状腕通過と地球環境の変化の関係」というテーマで動画をお送りしていきます。

地球の環境は、宇宙からの影響を大きく受けています。

例えば太陽の活動、巨大な隕石衝突、さらには大質量の星が死ぬ際に起こる超新星爆発やガンマ線バーストなどが原因でも大量絶滅が発生した例もあるとされています。

今回は天の川銀河という非常にマクロなスケールの宇宙構造と、地球の環境との意外な関係性を示す研究結果が発表されていたので、そちらを紹介していきます。

●地殻に見られる周期的な特徴

コロラド大学ボルダー校などの研究チームは、北アメリカ大陸とオーストラリア大陸西部にある、非常に古くからあって安定した2つの大陸地殻から、いくつかのサンプルを持ち帰って分析しました。

地殻は基本的に、溶けたマグマが固まって形成されます。

その際、ジルコンと呼ばれる結晶が形成されます。

持ち帰られたサンプルにも、ジルコンが含まれています。

ジルコン内部には、一定のペースで原子核が崩壊し、別の安定した原子核へと変化する「放射性物質」が含まれています。

ジルコンに含まれる放射性物質と、それが崩壊した後の元素との含有比、さらに放射性物質の崩壊するペース(半減期)がわかれば、ジルコンが含まれるサンプルが固まった年代が推定できます。

その結果、サンプルは28億~38億年前に形成された物であると判明しました。

さらに研究チームは、サンプルごとに酸素の同位体の比率も調べました。

同位体というのは、原子核内に含まれる陽子の数は同じものの、中性子の数が異なる物質です。

この表における縦軸(δ18O)は、中性子を8個含んだ最もありふれた酸素の同位体である「酸素16」に対し、中性子を10個含んだより重い酸素の同位体である「酸素18」がどれくらい多く含まれているかを示しています。

サンプルごとにそれが形成された年代と、その中に含まれる酸素の同位体の比率(δ18O)の関係性を調べてみると、重い酸素同位体の比率が高いサンプルが約2億年という周期で多く見られることがわかりました。

●地球地殻と天の川銀河構造の関係

地球の地殻に見られた2億年というとてつもなく長い周期ですが、銀河という超巨大なスケールまで視野を広げたとき、それと同様の周期が現れます。

太陽系は天の川銀河と呼ばれる、恒星が2500億個程度も集まった超巨大な星の大集団に属しています。

そんな天の川銀河には、「渦状腕」と呼ばれる星が高密度に集まった特徴的な構造が4本あります。

太陽系は銀河中心部に対して約240km/sで公転していますが、渦状腕は同じ方向に約210km/sで公転しているそうです。

また実は太陽系は、銀河円盤面に対して垂直方向にも、波打つように振動する軌道を描いています。

このような軌道の関係から、太陽系は約2億年の周期で渦状腕を通過しやすい時期が訪れます。

この周期と、先述の地球地殻の重い酸素同位体の比率が高まる時期がよく一致していることが示されました。

また、特に重い酸素同位体の少なかった34億3000万年前~35億6000万年前、太陽系は渦状腕の中に入っていなかったことも判明しています。

地球の地殻と天の川銀河の構造、一見スケールがあまりに違いすぎて全く関係がなさそうな両者ですが、これらを結びつける興味深いプロセスが提唱されています。

太陽系の最も外側には、太陽系全体を包み込むように分布している小天体の大集団「オールトの雲」が、直径3.2光年の範囲にわたり存在していると考えられています。

そして渦状腕は、銀河内で恒星系や星間物質が他の場所よりも高密度で集まった領域です。

太陽系が渦状腕に突入した際、それらとの相互作用によってオールトの雲内の天体が刺激され、太陽系内部に落ちてきて地球に隕石が衝突する可能性が高まります。

しかも、地球にやってくる一般的な隕石は火星と木星の間の小惑星帯からやってきていますが、オールトの雲由来の隕石の方が小惑星帯由来のものと比べ、地球に衝突する直前での対地球速度が極めて高いです。

そのため同じ大きさであっても、オールトの雲由来の隕石の方が小惑星帯由来の一般的な隕石の実に100倍という、とてつもないエネルギーを持っています。

このようなオールトの雲由来の高いエネルギーを持った隕石が落下すると、地殻が砕かれるだけでなく、その下のマントルにまで衝撃が伝わり、その後地球深部にある物質が地殻へと供給されます。

ここで、重い物質ほど自重で地球の内部に沈み込みやすいため、通常は重い同位体は軽い同位体よりも深部に存在しています。

ですが高エネルギーの隕石が衝突し、地球深部からの物質の供給が起こると、重い酸素同位体の比率が高まります。

このように考えると、重い酸素同素体の比率が高まっている時期と、太陽系が渦状腕に突入しやすい時期が一致していることの関係が説明できます。

2億年という周期を持つ地球の地殻組成の変化と太陽系の渦状腕通過、スケールが違いすぎる両者の間には明確な関係性があるのかもしれません。

やはり今の地球環境と、そこに育まれた生命は、宇宙からの影響なしで成立することはなかったのでしょう。

https://pubs.geoscienceworld.org/gsa/geology/article/doi/10.1130/G50513.1/616377/Did-transit-through-the-galactic-spiral-arms-seed
https://theconversation.com/scientists-have-traced-earths-path-through-the-galaxy-via-tiny-crystals-found-in-the-crust-188158
https://sorae.info/astronomy/20220901-comet-impact.html
https://www.geosociety.org/GSA/News/pr/2022/22-44.aspx

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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