『太郎』『太朗』『祐介』『裕介』―記者泣かせな漢字たち【記者的言葉解説】
メールの宛名や、招待状、席次表など、「人の名前」を書く時は、間違いがないか注意深くチェックしますよね。
記者たちは日頃から、自分が書いた原稿を校正しますが、その際も人物名や固有名詞などをしっかり確認します(もちろん、確認し過ぎるほど確認しても、間違ってしまうこともあるのですが……)。一見、簡単な漢字でも、見落としてしまうこともあります。
今回は、執筆記事1万本以上、取材経験5000回以上の元テレビ局芸能記者で現・フリー記者のコティマムが、『間違いやすい人名』をご紹介します。(構成・文=コティマム)
筆者は主に芸能取材やインタビューに出ることが多いので、登壇者や取材相手の「名前」を記事に書くことが多いです。原稿を校正する際は、イベント名や商品名はもちろん、人名も間違いがあってはならないため、気をつけています。
そんな中で、筆者が勝手に“記者泣かせ”と思っている漢字があります。下記は、その一部です。
■たろう:郎or朗
個人的に「見落としやすい」と思っている漢字が、「たろう」などに使われる「郎」と「朗」です。「太郎」なのか「太朗」なのか。サラッとチェックしていると分かりづらい上に、「たろう」の「た」が「大」なのか「太」なのか、「汰」なのかも紛らわしいのです。
太郎、太朗、大郎、大朗、汰郎、汰朗
こうして見ると、違いが分かりますが、原稿で「◎◎太朗」と書くべきところを「◎◎太郎」と書いていても、文章の中で読むと見分けがつきにくく、見落としがちになってしまいます。これは「二郎、二朗、次郎、次朗」なども間違いやすいです。
■ゆうすけ:祐or裕
これも本当によく名前に使われるのですが、「ゆうすけ」が「祐介」なのか「裕介」なのか、「ゆう」の字が間違いやすい漢字です。「介」も「助」の場合がありますし、「祐」や「裕」の字が、「佑」や「雄」の時もあります。
祐介、祐助、裕介、裕助、雄介、雄助、佑介、佑助
しっかり見ていても紛らわしいですね……。さらに祐也、裕也、雄也、佑也、祐哉、裕哉、雄哉、佑哉など、「ゆうや」の「や」も、「也」か「哉」で間違いがないか確認することもあります。
■地or池
また「きくち」などの名字で使われる「地」と「池」も、間違えやすいです。「菊地」なのか「菊池」なのか、一瞬のチェックだと見落としそうになりますね。女優の菊池桃子さんは「池」ですが、菊地凛子さんは「地」です。
さらに、「吉岡」「吉田」などに使われる「吉」の字も、まれにですが、「口」の上の「士」が「土」のように、「上の線が短い吉」の時があります。パッと見では分かりづらいので、見落としがちです。
まとめ
今日ご紹介した名前や漢字は、しっかり目をこらしていても間違えてしまいそうになる紛らわしい漢字です。
ちなみに、出演者が多いイベントや舞台あいさつなどは、名前チェックが更に重要になります。登壇ゲストが多い分、チェックする名前も増えるので、間違えないように書かねばなりません(キャストの多い舞台やドラマ会見、モデルがランウェイに次々に登場するファッションショーなど)。
過去にとある「新作歌舞伎の会見」に行った際は出演者が多く、間違いやすい漢字の名前(吉や朗)が使われている出演者も登壇していたため、名前チェックに目を光らせました。その時の現場の様子を筆者のアメーバブログ(新作歌舞伎会見)で書いています。ご興味のある方はぜひお読みください。
みなさんも、メールや手紙を書く時、宛名を書く時、招待や案内を送る時は、名前の漢字が間違っていないか、しっかりチェックしてくださいね。
言葉に関する記事については、【記者的言葉解説】『関わらず』って書いていませんか? 実は、間違いです!』もご覧ください。※スマホからご覧の方は、プロフィールからフォローしていただくと最新記事の見逃しがなくおすすめです。