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ノート(205) 弁護側が反対尋問で聞き漏らした重要なテーマとは

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~尋問編(11)

受刑195/384日目(続)

クローズド・クエスチョンの連打

 弁護側は、反対尋問により、「2010年1月30日夜、電話で佐賀さんに改ざんの事実を告白した」という僕の証言の信用性を何とか失わせようとしていた。

 しかし、その場には國井君と白井君が同席し、佐賀さんと僕のやり取りを佐賀さんの横で見聞きしていた。彼らの証言によっても裏付けられる話にほかならない。

 百歩譲って、國井君の場合は早い段階で改ざんの事実を知りながら黙っていたということで信用できない人物だと言えても、白井君は立場が異なる。國井君らから伝え聞くと、上司や幹部に報告すべきだと強く主張し、その後も揺るがなかったからだ。裁判所も、事件関係者の中で最も信用性の高い人物だと見るに違いない。

 検察側証人のトップバッターを改ざん事件の張本人の僕ではなく白井君にしたのは僕の発案であり、公判を担当する最高検の中村孝検事に提案したものだった。弁護側が厳しい反対尋問によっても白井君を最後まで崩しきれなかった時点で、この事件の立証は「勝負あった」と言えるだろう。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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