ノート(205) 弁護側が反対尋問で聞き漏らした重要なテーマとは
~尋問編(11)
受刑195/384日目(続)
クローズド・クエスチョンの連打
弁護側は、反対尋問により、「2010年1月30日夜、電話で佐賀さんに改ざんの事実を告白した」という僕の証言の信用性を何とか失わせようとしていた。
しかし、その場には國井君と白井君が同席し、佐賀さんと僕のやり取りを佐賀さんの横で見聞きしていた。彼らの証言によっても裏付けられる話にほかならない。
百歩譲って、國井君の場合は早い段階で改ざんの事実を知りながら黙っていたということで信用できない人物だと言えても、白井君は立場が異なる。國井君らから伝え聞くと、上司や幹部に報告すべきだと強く主張し、その後も揺るがなかったからだ。裁判所も、事件関係者の中で最も信用性の高い人物だと見るに違いない。
検察側証人のトップバッターを改ざん事件の張本人の僕ではなく白井君にしたのは僕の発案であり、公判を担当する最高検の中村孝検事に提案したものだった。弁護側が厳しい反対尋問によっても白井君を最後まで崩しきれなかった時点で、この事件の立証は「勝負あった」と言えるだろう。
この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバー 2022年4月
税込1,100円(記事3本)
2022年4月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。