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なぜアイスモンスター(ICE MONSTER)は爆発的な行列となっているのか?

東龍グルメジャーナリスト
アイスモンスター(ICE MONSTER)

アイスモンスター

2015年4月29日「アイスモンスター(ICE MONSTER)」が表参道にオープンしました。

オープン初日には500人が列をなして最大で7時間の待ち時間となり、それ以降も毎日開店前から行列ができ、常に1時間待ちは当たり前となっています。

既に行列の定番となっている「エッグスンシングス(Eggs'n Things)」「bills(ビルズ)」「カフェカイラ(CAFE KAILA)」といったパンケーキ店はもとより、新トレンドの「ギャレット ポップコーン ショップス(Garrett Popcorn Shops)」「ククルザポップコーン(KuKuRuZa popcorn)」といったポップコーンショップよりも待ち時間が長いです。

最近の表参道における話題店

アイスモンスター(ICE MONSTER)
アイスモンスター(ICE MONSTER)

表参道には2015年、以下の話題店もオープンしていますが、アイスモンスターはこのどれもよりも注目されており、メディアでの露出も多いです。

  • 「KAMEHAMEHA BAKERY(カメハメハベーカリー)」

2015/01/29

  • 「JJ HAWAI(ジェジェイハワイ)」

2015/01/29

  • 「ICELAND VINTAGE COFFEE 表参道店(アイランド・ヴィンテージ・コーヒー 表参道店)」

2015/02/12

  • 「BLUE BOTTLE Coffee 青山(ブルーボトルコーヒー青山)」

2015/03/07

  • 「オリジナルパンケーキハウス」

2015/03/27

  • 「ウナギパイ カフェ トウキョウ」

2015/03/28

  • 「LUKE'S(ルークス)」

2015/04/28

  • 「Guzman y Gomez(グズマン イー ゴメズ)」

2015/04/29

  • 「MILKCOW(ミルクカウ)」

2015/04/29

  • 「クロッカンシューザクザク 原宿店」

2015/05/03

アイスモンスターがこれだけ注目され、爆発的な行列となっているのはどうしてでしょうか。その理由は以下の3つだと考えます。

  • 台湾スイーツが人気
  • かき氷が成熟
  • 表参道の南西側

これらの理由を詳しく説明しましょう。

台湾スイーツが人気

古くは「糖朝」のマンゴープリンや杏仁豆腐、銀座のプーアル茶専門店「三徳堂」のかき氷が人気となるなどしていましたが、台湾スイーツなどアジアのスイーツはマイナーという印象が強かったです。

しかし、「【台湾スイーツ】マンゴーチャチャは「元カレ」「モテキ」からオレンジの愛を届ける」でご紹介した「マンゴーチャチャ」のマンゴースイーツはもちろん、「春水堂」のタピオカミルクティー、「サニーヒルズ」のパイナップルケーキなど、ここ1、2年の間に台湾スイーツが日本へと上陸して人気を博したので状況が変わりました。

日本ではもともと親日の台湾に対する関心が高かったこともあり、台湾スイーツへの興味が一層強まり、上記の成功事例からメディアでも大きく取り上げられるようになったのです。

つい最近では、「次なる台湾スイーツブーム、春水堂の豆花を識る」でご紹介したように、春水堂の次なる新商品である豆花が広く露出するなど、新しい台湾スイーツが受け入れられる土壌が育っています。

かき氷が成熟

昨年は、巣鴨の「雪菓」、池袋「しんじろう」、桜新町「雪うさぎ」がオープンして天然氷が大きく注目されたり、バーの雰囲気を醸し出すかき氷専門店「yelo」が六本木に、前述の「マンゴーチャチャ」が表参道にオープンするなどして、かき氷の枠が広がりました。

さらには、「【最高級かき氷】ザ・リッツ・カールトン東京 ドンペリニョン ロゼのかき氷はどのようにして生まれたか?」でご紹介した最高級のドンペリロゼのかき氷やグランド ハイアット 東京のツバメの巣のかき氷なども生まれて、街場のバラエティに富むかき氷から、ホテルの高級かき氷まで出揃ったのです。

これによって、かき氷はお祭りの時に食べる手頃でチープなスイーツではなく、<上質なスイーツ>や<海外から上陸するトレンドのスイーツ>、<オシャレして食べに行くスイーツ>や<ホテルでも提供される高級スイーツ>として認識されるようになりました。

暑い夏のかき氷は、クリスマスシーズンから春にかけてのいちごスイーツ、秋の栗スイーツに匹敵するほどの爆発力を秘めるようになり、今年2015年に入って成熟期を迎えたと言えます。

表参道の南西側

表参道を歩いて原宿駅から表参道駅へ向かう道中で見掛けられる行列店を挙げていくと、「ギャレット ポップコーン ショップス」「bills」「エッグスンシングス」「ククルザ ポップコーン」「ベン&ジェリーズ」がありますが、このどれもが表参道の北東側にあります。また少し奥へと行けば北東側には「レインボーパンケーキ(RAINBOW PANCAKE)」「春水堂」があります。

表参道の南西側を見てみると、「ICELAND VINTAGE COFFEE 表参道店(アイランド・ヴィンテージ・コーヒー 表参道店)」は行列ができるもののそれほど並んでいませんし、「カフェカイラ」は地階で分かりにくいですし、「LUKE'S」は通りから少し入るのであまり目立ちません。

アイスモンスターはどこにあるかと言えば、神宮前交差点のすぐ近く、表参道の南西側にあります。表参道では先に述べたように行列は北東側に集中しているので、逆に南西側にあった方が目立ちますし、神宮前交差点のすぐ近くは人通りが非常に多いので、アイスモンスターは行列ができ易いのです。

また、順番を待つ人に整理券を配布して、入店順番が近付いたらメールで連絡していますが、常に30人くらいは行列するように調整しています。完全に行列をなくしてしまうと、通行人に注目されなくなるので、ちょうどよい戦略であると言えるでしょう。

台湾スイーツとかき氷の今後

以上のように、アイスモンスターがオープン早々から爆発的な行列となっているのは、<台湾スイーツが人気>となっているので新たな上陸店としてメディアで話題となり、<かき氷が成熟>したので今年は春から冷菓に関心が持たれていたところへ、<表参道の南西側>という好立地にオープンしたからです。

今年の夏は、東京は例年並以上の暑さになりそうなので、アイスモンスターの勢いは夏が終わるまでずっと続いていくことになりそうですが、涼しくなる秋からが正念場となります。

台湾スイーツは夏のイメージが強く、かき氷は夏の妙味となっていますが、リッチなアイスクリームが年中食べられるようになったように、アイスモンスターもシーズンを問わず爆発的な行列が続くようになれば、本物のモンスターになったと言えるのではないでしょうか。

情報

詳しくは公式サイトをご確認ください。

元記事

レストラン図鑑に元記事が掲載されています。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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