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ビシャレアルの元大エース、リケルメと久保建英。サッカーの変化を語る格好の題材だ

杉山茂樹スポーツライター
写真:杉山茂樹

 レアル・マドリーとバルセロナ。アトレティコ・マドリーが続き、セビージャとバレンシアがそれを追う。スペインリーグでその次に位置しているのがビジャレアルだ。今季の成績は5位。チャンピオンズリーグ(CL)では、2005-06シーズンのベスト4が最高位だ。

 その時、準決勝を戦った相手はアーセナルで、第1戦(アウェー)の結果は0-1だった。第2戦は後半終了間際まで0-0。合計スコア0-1で推移していたその土壇場で、ビジャレアルはPKをゲット。ビジャレアルのホーム、エル・マドリガル(現在のスタジアム名はエスタディオ・デ・ラ・セラミカ)の盛り上がりは最高潮に達した。決めれば延長戦。ところが、名手フアン・ロマン・リケルメが蹴ったPKは、アーセナルGKイエンス・レーマンに阻まれてしまう。ビジャレアルのCL決勝進出の夢は儚く消えた。

 スタジアムの収容人員は23000人。CLで過去にベスト4入りしたチームの中では、モナコのルイ2世スタジアム(18500人収容)に次ぐ小ささになる。だが、モナコの場合は、それでいながら都会的でリッチ感に富む。素朴さという点ではビジャレアルの方が断然上。南米の田舎を訪れたような独得の緩さが魅力だ。

 雰囲気が似ているのは、ビジャレアルとほぼ隣町の関係にあるバレンシアより、セビージャの方かもしれない。個人的には、そのホーム=ラモン・サンチェス・ピスファンは、欧州にあって最も南米的な匂いのするスタジアムだと思う。

 前置きが長くなってしまったが、久保建英がビジャレアルに移籍したという報道を耳にした時、頭をよぎったことのは、清武弘嗣が移籍してきた2016-17シーズンのセビージャだった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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