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過去の恋愛「フォルダ保存」か、「上書き」か?いつまでも過去の恋愛を忘れられないのは…

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:アフロ)

過去の恋愛相手

現在、誰かと恋愛中の人でも、場合によってはその相手が今までのベストの相手ではないかもしれない。本当は別にもっと好きな相手がいたのに、それが叶わず、今の相手と交際をしているという人もいるだろう。

もちろん、常時その過去の相手を思っているということではないが、たとえば、かつて付き合っていた相手と同じ場所にデートで訪れた場合に思い出すこともあるだろう。かつてその相手とよく聴いていた音楽を街中で耳にした際にふと思い出すこともあるかもしれない。

または、今付き合っている相手に対して、特に不満があるわけではないにしろ、何かちょっとした喧嘩や揉め事があった際に「ああ、あの人だったらこんなことにはならないのに…」という無意識の比較をしてしまうこともないことはないだろう。

過去に恋愛経験が豊富であればあるほど、過去の恋愛相手は存在するのだから、そうしたことも当然かもしれない。

フォルダ保存か、上書きか?

「男は過去の恋愛をフォルダに分けてずっと保存しておくが、女は上書きしてしまう」などとよくいわれる。過去の思い出を゜男の方がロマンチックに残しておくのに対して、女は今現在の感情を大事にするというが、本当だろうか。

基本的には、男女差というより個体差である。

フォルダ分けして保存しておく女もいるし、上書きしてしまう男もいる。

実際に、忘れられない過去の交際相手がいる割合というものを、未既婚に加え、離婚者もあわせて年代別に調査をしてみた。過去の交際相手という縛りなので、単に片思いの相手というものは含んでいない。

未婚男女は、特に20-40代までは男女ともほぼ同じである。20代未婚男性では31%、20代未婚女性も30%である。約3割は「忘れられない過去の恋愛相手」を抱えながら現在の恋愛をしているといえる。逆にいえば、7割の男女は「上書き」してしまうのである。

上書きする女性ばかりではない

興味深いのは、未婚男女より既婚や離婚の男女の方が「フォルダ保存」派が多いことである。

特に、20代既婚女性は47%、離婚女性は55%もいる。結婚した女性の約半数は、「忘れられない本当に好きな人」とは違う人と結婚しているのだろうか。当然、結婚は感情だけで決められるものではない。リアルな生活をするための経済力などを見極める必要もある。相手から別れを切り出されることもある。人生いろいろだ。

しかし、もっと興味深いのは、半分もあった割合が、年代があがるごとに3割程度に収束することである。世代の問題というより、子育てなど現実の問題に対処することで頭がいっぱいになり、「そんな過去の惚れたはれたなんて」覚えてられないのかもしれない。

写真:アフロ

ただ、ひとつ忘れてはいけない視点がある。

「忘れられない相手」というのは決して「良い思い出」だけではない。たとえば、借金や浮気やDVなどクズ男にハマってしまった過去があり、そうした相手をことあるごとに思い出してはムカついてしまうという「負の思い出」もないとはいえないだろう。

既婚と離婚男性の特徴

既婚と離婚の男性もまた面白い傾向がある。

離婚男性は既婚離婚女性と同様に20代が最大で48%もいる。「忘れられない相手」が別にいるから離婚したのだろうか。離婚男性の場合は年代があがるごとにその割合は下がる。

対して、既婚男性は離婚男性と真逆の傾向だ。20代既婚男性ほど小さく、50代で51%と最大になる。これはどうだろう、結婚した当初は、妻がベストな相手だと思い込んでいたが、長く連れ添っている間に「あれ?これは違うかな」とでも思うようになったのだろうか。

いずれにしても、未婚であれ既婚であれの婚であれ、男女年代関係なく、ほぼほとんどが3割程度は「忘れられない相手がいる」ということである。

写真:アフロ

記憶というものは基本的には思い出すから覚えているのである。どんなに仲が良かった子どものときの友達でも、思い出す行動をしなければ自然に忘れてしまう。そのように人間の脳はできている。つまり、いつまでも覚えているということはいまでも思い出しているということなのである。

「忘れられない相手」なのではなく「忘れたくない相手」なのだ。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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