日ロ首脳会談は「ネギしょった鴨が這いつくばるの図」再び
フーテン老人世直し録(220)
皐月某日
安倍総理は昨年のゴールデンウィークに米国を訪問し、4月29日に連邦議会の上下両院合同会議で演説した。演説は日本が米国に完全隷属することを宣言する内容であった。直後にフーテンは「ネギしょった鴨が這いつくばるの図」というブログを書いた。
今年のゴールデンウィークは安倍総理が欧州に続いてロシアのソチを訪問し、5月6日にプーチン大統領と平和条約締結交渉を巡って会談した。これまでの報道から伝わってくるのは、再び「ネギしょった鴨が這いつくばるの図」と書きたくなる内容である。
昨年の安倍総理の米議会演説については佐藤健志著『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』(徳岡書店)が詳しく論評しており、フーテンと考え方が近いのでその内容を紹介する。
著者は岸信介の60年安保改定について「とりあえずは対米従属を受け入れつつ、長期的には従属を脱却できるようにしておくという配慮がみられる」として、安倍総理の米議会演説とは対照的だとしている。フーテンが「岸信介と安倍晋三はこれほど違う」を書いたように、この著者も二人を真逆の政治家と見ている。
著者はまず45分間に及ぶ演説の中に日本の歴史や伝統、文化についての言及がないことに驚いている。そして演説の冒頭で安倍総理が歴代の駐日米国大使を「民主主義の輝けるチャンピオン」と呼んだことに注目する。彼らによって日本は民主主義を教えられたと安倍総理は考えているのである。
安倍総理は演説の冒頭で米国は日本に教える側であり、日本は学ぶ側であることを認めた。そして安倍総理は「日本にとってアメリカとの出会いは、民主主義との出会いでもあった」と述べ、19世紀後半の黒船来航以来、日本がアメリカ民主主義にあこがれてきたかのように演説する。
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