今夏も発売!「青春18きっぷ」おススメの使い方や注意点は?
12,050円で春・夏・冬の任意の5日間、JRの普通・快速列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」。今夏分については、あたかも廃止されるかのような不安を煽る風説が流布されたものの、それを払拭するかのように例年通り発売されることがJRグループから発表された。今回のポスター写真は三重県の紀勢本線紀伊長島~三野瀬間を走るキハ25形気動車で、駅の写真が使われることが多い青春18きっぷのポスターには珍しい沿線を走行する写真となった。キャッチコピーは「あの雲についていく。そんな旅もありですか。」
今夏の青春18きっぷの概要は以下の通りだ。
【発売期間】7月10日(木)~8月31日(土)
【利用期間】7月20日(土)~9月10日(火)
【値段】12,050円(税込・大人子供同額)
昨年夏から変更された点としては発売期間があり、昨年夏までは発売期間が「7月1日から」だった。昨年までの間隔で7月1日~7月9日に青春18きっぷを買いに行っても買うことができないので注意しよう。利用期間・値段に変更はない。
発売箇所は全国のみどりの窓口・旅行会社などだ。券売機では「みどりの券売機」「指定席券売機」で買うことができ、近距離用の券売機では買うことができない。券売機のメニューは会社によって違うものの「おトクなきっぷ」「割引切符」のボタンから進んで買うことができる。人数を選ぶ場合、1枚(5日分)を購入するなら「大人 1名」を選択しよう。2人以上同一行程で使用するからと「2名」を選択すると、2枚(10日分)を購入することになってしまう。みどりの窓口・券売機ともに、クレジットカードでの購入も可能だ。旅行会社の場合、JR系列の旅行会社をはじめとして、日本旅行・JTBといった大手でも発売しているが、扱っていない会社や店舗もあるので、最寄りの旅行会社で購入できるか気になる場合はあらかじめ確認しておいた方がよいだろう。
使用する場合、利用当日に駅の改札口で日付印をもらって使用開始する必要がある。もし、乗車駅の改札口が無人の場合は乗車列車の乗務員か、下車駅の改札口で使用開始してもらおう。
使い方としては1人で5回使うだけでなく、5人で1回というような使い方もできるが、2人以上で使う場合は同一行程での利用となるため、たとえば尼崎に住む人と西九条に住む人が大阪駅で合流して2人で青春18きっぷを使うといった場合、18きっぷを持っている人以外は合流する大阪駅までのきっぷを別途購入する必要がある。
18きっぷでは全国のJRの普通・快速列車が乗り放題となるが、特急や新幹線を利用する場合は、特急券・指定券だけでなく乗車券もセットで購入する必要がある。ただし、例外として18きっぷでも特急に乗車できる区間があり、石勝線(新夕張~新得)、室蘭本線(東室蘭~室蘭)、奥羽本線(新青森~青森)、佐世保線(早岐~佐世保)、宮崎空港線(宮崎~宮崎空港※注1)の5線区だ。いずれも区間内相互発着の場合のみで、たとえば新夕張から新得、トマムから占冠といった乗り方は可能だが、区間を跨いで追分から新得、十勝清水から占冠といった使い方をする場合は全乗車区間の乗車券と特急券が必要となる。
普通・快速列車のグリーン車の場合、自由席ならグリーン券の購入で利用可能だが、指定席の場合は特急と同様に乗車券も別途購入する必要がある。
※注1 正式には宮崎~南宮崎間が日豊本線、南宮崎~田吉間が日南線、田吉~宮崎空港間が宮崎空港線で、この3区間を合わせて空港線の愛称が付けられている。
JR以外の私鉄・三セクでも青春18きっぷは使うことができないが、こちらにも例外があり、青い森鉄道(青森~野辺地~八戸)、あいの風とやま鉄道(富山~高岡~倶利伽羅)、IRいしかわ鉄道(倶利伽羅~津端)、ハピラインふくい(越前花堂~敦賀)の4線区だ。いずれも他のJR在来線と接続しない孤立路線と接続する三セク線で、途中下車可能駅が定められている。青い森鉄道の場合は青森・野辺地・八戸、あいの風とやま鉄道の場合は富山・高岡、IRいしかわ鉄道の場合は津端、ハピラインふくいの場合は越前花堂・敦賀で、それ以外の駅で下車する場合は各社の運賃が必要となる。
日付を跨いで乗車する場合、きっぷが有効なのは0時を回って最初に停車する駅で、その駅から下車駅までの乗車券が別途必要となるが、東京・大阪の電車特定区間では例外で、終電車までそのまま利用可能だ。
気を付けたいのは、列車の遅延で到着が0時を過ぎる場合にもこのルールが適用されるという点だ。例えば、23時58分に自宅最寄り駅(特定区間外)に到着する予定だったのが、列車の遅延でその列車に乗れずに1本後の列車に乗った場合、JR都合の遅延であったとしても、0時を過ぎて最初に停まる駅から最寄り駅までの運賃を支払わなければならない。こうならないためにも、行程は余裕を持って組み、日付が変わる直前ギリギリに到着するといった行程は避けるのが無難だろう。
青春18きっぷの強みは何といっても「自由」なことだ。早朝や深夜までひたすら乗り継いで遠くを目指すのもいいし、行程を決めずに思いつきで途中下車してもいい。「青春」とつくものの、年齢制限はなく、子供からお年寄りまで使うことができる。とはいえ「自由は、あり過ぎると扱いに困る(by 宮脇俊三)」のも事実だ。ここで筆者のおススメの使い方も紹介しておこう。
筆者がおススメするのは近場の路線を再発見するという使い方だ。青春18きっぷの元を取るため(一日当たり2,410円)にも遠くに行くために使うという方も多いだろうが、近場の路線で乗り降りを繰り返す際にも便利なのが青春18きっぷだ。すぐ近くなのに降りたことのない駅、歩いたことのない街をこの機会に18きっぷで尋ねてみてはいかがだろうか。ちなみに初乗り150円の路線で元を取るためには単純計算で17回乗り降りを繰り返せばいい。
また、18きっぷだけで移動するのではなく、飛行機や新幹線、夜行バスで現地まで行って旅先で回るという18きっぷを使うというやり方もある。
酷暑が予想されるこの夏、青春18きっぷで旅をする際には水分補給を怠らず、日差し・暑さ対策を入念にして出かけよう。夏バテ防止のためにも時には無理をしないことも大切だ。今年の夏も青春18きっぷで楽しもう。
「青春 18 きっぷ」「青春 18 きっぷ北海道新幹線オプション券」の発売および北陸新幹線開業に伴うおトクなきっぷの取扱いについて(PDF)