北朝鮮が10月12日に巡航ミサイル2発を発射していたことが判明
10月13日、北朝鮮が「10月12日に長距離戦略巡航ミサイルを試験発射した」と公式発表しました。韓国軍も在韓米軍もこの発射には気付いていませんでした。(※追記:韓国軍合同参謀本部は後から「北朝鮮の巡航ミサイル発射状況をリアルタイムで把握していた」と発表。)
北朝鮮の巡航ミサイルは新たに「戦略」という言葉が付きました。「戦術核運用部隊に配備された長距離戦略巡航ミサイル」という、戦術なのか戦略なのかよく分からない表現ですが、核弾頭の搭載を想定した地対地型の巡航ミサイルであることは確かなようです。
なお韓国軍と在韓米軍が探知できなかった理由は、試験発射であるために自分たちに向かって接近して来ず、遠くでグルグル周回していたこと。巡航ミサイルは低く飛ぶので、地形が邪魔をしてレーダーで探知し難いこと。これらの要素が原因となります。高く飛び上がる弾道ミサイルと違って、巡航ミサイルは接近して来ないとなかなか気付くことができません。これは仕方がないことになります。
※追記:韓国軍合同参謀本部は北朝鮮の公式発表の後から「北朝鮮の巡航ミサイル発射状況はリアルタイムで把握していた」と発表。発射場所は北朝鮮西部の平安南道の价川(ケチョン)一帯としています。
【関連記事】
2022年の北朝鮮ミサイル発射一覧(10月12日まで)
- 01月05日朝 1号 「極超音速ミサイル」
- 01月11日朝 2号 「極超音速ミサイル」
- 01月14日夕 3、4号 KN-23鉄道型
- 01月17日朝 5、6号 KN-24
- 01月25日朝 7、8号 巡航ミサイル
- 01月27日朝 9、10号 KN-23車両型
- 01月30日朝 11号 火星12
- 02月27日朝 12号 火星17(予備実験)
- 03月05日朝 13号 火星17(予備実験)
- 03月16日朝 失敗 火星17(推定)
- 03月20日朝 カウントせず(多連装ロケット4発)
- 03月24日夕 14号 火星15?(火星17の偽装説)
- 04月16日夕 15、16号 新型小型SRBM
- 05月04日昼 17号 火星17(予備実験?)
- 05月07日昼 18号 KN-23水中発射型? ※海から発射と推定
- 05月12日夕 19、20、21号 KN-25?
- 05月25日朝 22号、失敗、23号 火星17予備実験?と極超音速兵器?
- 06月05日朝 24、25、26、27、28、29、30、31号 KN-23・KN-24・KN-25・新型小型SRBM?
- 09月25日朝 32号 KN-23水中発射型 ※ダム湖から発射
- 09月28日夕 33号、34号 KN-23拡大型
- 09月29日夜 35号、36号 KN-23
- 10月01日朝 37号、38号 KN-23
- 10月04日朝 39号 火星12中距離弾道ミサイル改? ※日本列島越え
- 10月06日朝 40号、41号 KN-23とKN-25
- 10月09日夜 42号、43号 KN-25
- 10月12日夜 44号、45号 巡航ミサイル ※写真は日が落ちた時間帯
※失敗2発を含め25回の発射機会で47発のミサイル発射となります。予備実験を含め発射成功は45発です。
※3月20日に発射された口径300mm以下と推定される多連装ロケット4発は発射機会にカウントしていません。これを発射機会に数えると26回目になります。各当局や各研究機関でカウントの基準が異なっています。
※KN-23(イスカンデル型)、KN-24(ATACMS型)、KN-25(超大型放射砲、放射砲は多連装ロケットの意味)、これらは短距離弾道ミサイル(SRBM)。KNナンバーはアメリカ軍のコードネーム。
※600mm超大型ロケット弾(KN-25)は並みのSRBM(短距離弾道ミサイル)より巨大なので、SRBM扱いされます。
※火星12は中距離弾道ミサイル(IRBM)、火星15と火星17は大陸間弾道ミサイル(ICBM)、SLBMは潜水艦発射弾道ミサイルのこと。ダム湖から撃った水中発射弾道ミサイルはSLBMと同じ物だが、発射形態が異なる。
※4月16日発射の新型小型SRBM(翌17日公表)より後、10月10日に9月25日~10月9日に12発を発射した分を纏めて報告するまでの間、つまり5月4日~6月5日まで16発分の期間は北朝鮮の公式発表が一切ありませんでした。