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「小1の壁」学校の持ち物・名前つけに右往左往、働く母の対処法

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
小学生になると親の手助けが必要な支度が多い(写真:アフロ)

入学の季節。小学校に入学した共働き家庭は、親の手助けが必要な支度の多さに戸惑います。配られたプリントを見ながら、いつ何を持っていくか親のほうが緊張します。どんな持ち物の準備が必要かや、毎日のタスクをこなす工夫を紹介します。

●だらしない親と思われたくない

昨春、娘が小学校に入学した時、やらなければならないことが多くて、母親のほうが必死でした。ある働くママも「小学校から指定された持ち物が細かくて、なぜそんなものがいるのか、なぞで…。本当につらい」とこぼしていました。

保育園も「紙おむつに名前」「フード付きの服やスカートはダメ」「タオルを縫って、ゴムを入れたお食事エプロン」など、決まりや指定の持ち物が多かったです。

でも、学校の用意というのは何か違うんですよね。独特の緊張感があり、親が試されているように感じます。「見落としがあって忘れ物をしたら、だらしない家庭、ほったらかしの親と思われるのではないか?」という強迫観念が生まれるのです。

●縫い物は外注・再利用もOK

まず、保育園に入る前と同じで縫い物からスタート。入学前の説明会で、必要なものを知らされます。働くママたちは、手芸店や地域の手芸が得意なサークルにオーダーして縫ってもらっていました。実際、学校から配られた「いすの背もたれにかける、防災ずきん入れ」の作り方プリントを見ても、解読できません。

筆者は手芸店に立ち寄ったら、ずきん入れのわかりやすい作り方をもらえたので、自宅にあったパッチワーク用の布と組み合わせ、苦心して縫ってしまいました。防災ずきんは、大きさや材質を確認し、保育園で使っていたものを使えました。手提げバッグは、「大きめ」というサイズで二つ作りましたが、学童保育の着がえが多いため、それでも小さかったです。

冬場は、記事→縫い物→記事→縫い物という感じで、ひたすら作業をする日々でした。もちろん、大きめバッグも、ずきん入れも、市販品があります。外注する時間がなければ、市販品を買うのがいいと思いますよ。

他に体操着入れの巾着を大・小と、ランチマットを2枚、縫いました。給食はトレイがあり、その下にマットをひきます。ランチマットやハンカチを入れる巾着は、保育園で使ったコップ入れがちょうどいいです。

家にあった小さめ手ぬぐいなど、ランチマット用に何枚も用意しましたが、保育園で給食を食べなれていて、そんなに汚すこともなく、大量には必要なかったです。上履き入れは、保育園の外履き入れを活用しています。これも苦心して縫ったので、捨てがたいですしね。

●クレヨン・色鉛筆は1本ずつ名前

文房具の準備は初めてで、右往左往しました。だいたいは学校で一括購入しますが、筆箱や下敷き、はさみ・テープは各自が用意。キャラクターはダメ、という決まりです。入学式の日に、一括購入のお道具箱を配られ、名前つけのために持ち帰るのが重かったですね。

名前つけは、うわさ通りの細かさです。算数ブロック20個に、一つひとつ名前をハンコしたシールをつけました。夫婦で夜な夜なつけたという家庭もありました。筆者は、クレヨンや色鉛筆に、一本ずつ名前をつけるのを知りませんでした。箱につけて持たせてしまい、持ち帰らせて名前シールをつけ直しました。

保育園みたいに、朝晩と先生に会う機会もなく、連絡帳に書いても先生は30人以上の子どもを見ているので、対応しきれません。何かを持ち帰らせるとか、忘れ物の捜索とか、一苦労です。

●情報交換は気ごころ知れたママと

学校が始まってから、追加で音楽バッグや、図工で使うスモック、ループ付きぞうきんとそれをはさむ大きい洗濯ばさみなどの持参がありました。あれこれ作ったのに、まだバッグがいるのね…。

音楽室へ行くのに鍵盤ハーモニカや教科書を入れるバッグは、筆者がだいぶ前に手作りしたバッグのほつれを直し、名前をハンコしたタグを縫い付けました。学校に代金を持たせ、絵具セットと鍵盤ハーモニカの購入もありました。

こうした持ち物の情報交換をするのに助かったのは、保育園が一緒で学校のクラスが同じママたちとのライン。グループを作り、「スモックどうする?」と聞くと、「これいいよ」とネット通販をリンクしてくれたり、100均で買った洗濯ばさみのシェアをしたりしました。

●持ち物プリントは電子化

持ち物は、何日かに分けて持って行きました。配られるプリントに、「〇日はお道具箱」「給食のランチマットセット」など持っていく日を細かく指定されており、親はにらめっこです。

最初のうちは、とにかくプリントを写真に撮って、ママたちとのグループラインの「ノート」に入れていました。電子化しておくと、みんなも見られるし、自分でも確認できます。

保育園時代は、病気をもらってきてしょっちゅう休む過酷さがあったのですが、自分でできることが増えて病気が減った年長時は、充実した生活だったのです。

忘れ物があっても保育園で借りられましたし、帰宅してから課題がなく、送り迎えや食事・お風呂といったシンプルなお世話なので、夫が担当の日もありました。

●ママに偏りがちな学校タスク

でも、学校周りの支度は、どうしても母親がすることになります。わからない点を先生に問い合わせたり、トラブルに対応したり、連絡帳を書いたり、細かくて高度になります。

次々と出てくる毎日のタスクは分担する余裕もなく、夫が学童保育に迎えに行けるとしても時間が遅いのです。その後の宿題や支度を考えると、筆者が仕事の都合をつけて、早めに迎えに行くしかありませんでした。

新しい生活に大変なのは子どものはずなんですが、「アラフィフ初めて母」はきつかったですね。1年生になってしばらくは、慣れない生活リズムに不機嫌な娘をおんぶして、起こしました。食べさせて、着がえさせて、髪の毛を整え、学童保育と学校の用意をさせて、送り出すともうへとへとでした。

夜は、学童保育に迎えに行って帰ると、ごはん、洗濯、明日の用意、宿題、お風呂。そして、なるべく早い時間に寝せます。何人も子どもがいる家庭には、尊敬しかありません。

●パパ担当の日・情報共有のススメ

筆者は更年期の体調不良で、仕事もあるし、「学校・学童周りの準備が、こぼれ落ちたらどうしよう」という恐怖感がありました。

昭和育ちの働く母親って、「決まりに従う」ということにマジメになりすぎてしまうんですよ。できれば、「学校に入ってからは、課題が多い」ということを夫婦で共有し、「パパ担当の日」を作るのをお勧めします。

また、ささいなことも気兼ねなく情報交換できるメンバーのグループラインも助かります。同じ保育園や幼稚園で過ごしていると、互いの家庭状況や子どもの個性をある程度は知っているので、付かず離れずの距離を保てると思います。

クラス全体のラインだと収集がつかなくなり、様々な問題を抱える家庭もありますから、気を使います。かといって、1対1だと時には重荷になりますが、グループに何人かいると、誰かが答えてくれますので。

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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