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滑り込んでベースを行きすぎてしまい、タッチされたものの…アウトにはならず

宇根夏樹ベースボール・ライター
J.ウェンドル(左)とP.クロウ-アームストロング May 2, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月2日、ピート・クロウ-アームストロング(シカゴ・カブス)は、6回表に、二塁打を記録した。

 右方向へ飛んだ打球は、ワンバウンドした後、ライト・ポールのすぐ下のフェンスに当たり、跳ね返った。それを捕ったスターリング・マーテイ(ニューヨーク・メッツ)は、すぐに二塁へ送球した。

 二塁に達したのは、クロウ-アームストロングのほうが早かったが、滑り込んだ勢いでベースを行きすぎてしまい、マーテイからの送球を受けたジョーイ・ウェンドルにタッチされた。けれども、アウトにはならなかった。

 走っている途中に、ヘルメットが脱げかけたクロウ-アームストロングは、右手でヘルメットを頭から持ち上げた。そして、投げ捨てることなく、持ったままで滑り込んだ。タッチされた時、ヘルメットは、ベースと接触していた。上の写真がそうだ。塁審は、セーフを宣告した。

 ベースに触れていたのが、頭にかぶっていたいるヘルメットなら、セーフだろう。ただ、クロウ-アームストロングは、ヘルメットを手に持ってリーチを伸ばしている。こちらは、アウトと判定されてもおかしくない気がする。

 クロウ-アームストロングの二塁打により、カブスは、リードを2点から3点に広げた。ちなみに、1死三塁の場面で打ったので、二塁でアウトになっても、得点は入っていた。

 一方、このプレーで補殺を記録できなかったマーテイは、10回表と11回表に、本塁への送球で走者を刺した。2イニング連続の補殺だ。

 10回裏は、フライを捕球後、ワンバウンドでオマー・ナルバイエズのミットへ。11回表は、ヒットを拾い上げ、ノーバウンドでミットに届かせた。2度目の補殺は、走者のニック・マドリガルがタッチをかわしたように見えたが、ベースに触れることができず、戻ろうとしたところをタッチされた。マドリガルは、ヘルメットをかぶったまま、ベースに手を伸ばした。

 試合は、11回裏に、メッツがサヨナラ勝ちを収めた。

 なお、クロウ-アームストロングは、メジャーリーグ2年目の22歳だ。昨シーズンは、14打数0安打に終わった。今シーズンは、4月24日にAAAから昇格し、24打数7安打(打率.292)を記録している。長打は、ホームラン1本と二塁打2本――その2本目がヘルメットによるアシスト――だ。メジャーデビューまでについては、こちらで書いた。

「映画でメジャーリーグの監督の母親を演じた女優が、リアルではメジャーリーガーの母親となる」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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