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「単打100本未満で100本塁打」は、単なる史上初ではなく異次元の記録

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・ギャロ(テキサス・レンジャーズ)May 1, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジョーイ・ギャロ(テキサス・レンジャーズ)が珍記録を作ったことは、日本でも報じられた。5月8日に通算100本目のホームランを打った時点で、シングル・ヒット(単打)は通算93本(二塁打は50本、三塁打は6本)。これまで、単打を100本打つ前にホームランを100本打った選手はいなかった。

 ただ、この記録の驚きは、史上初ということだけにとどまらない。MLB.comのサラ・ラングスは、イライアス・スポーツ・ビューローからの情報として、100本目のホームランを打った時点で単打の少なかった6人を挙げている。それによると、ギャロに次いで単打の少ない5人は、ラッセル・ブラニヤン(172本)、ケン・フェルプス(174本)、ライアン・ハワード(176本)、クリス・カーター(179本/ボルティモア・オリオールズ)、デーブ・キングマン(180本)だ。本数からわかるとおり、ギャロの次元は明らかに異なる。彼の他には、単打170本未満の選手すらいない。

 ギャロが100本塁打に到達したのは、377試合目のことだった。こちらは、ハワードの325試合目とラルフ・カイナーの376試合目に次いで少ない。ギャロは25歳。今後も「単打<本塁打」のまま、さらなるマイルストーンに達する可能性もある。単打200本未満で200本塁打、単打300本未満で300本塁打といった具合に。

 なお、「初の犠牲フライは1337打席目。それまでに打ったホームランは歴代最多」で書いたとおり、ギャロは初の犠牲フライを記録するまでに最も多くのホームランを打った選手でもある。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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