リアルな自然環境ですごす時間が私たちには必要です。
パソコンやスマートフォンに接する時間はどのくらいありますか。起きている間にデジタル機器に触れていない時間は実に少なくなっています。仕事や家庭においても連絡などのコミュニケーション、暇つぶしや情報収集のためのWEBやユーチューブ閲覧、仕事や趣味においてもデジタル機器は手放すことができません。
デジタルに一方的に使われるのではなく、活用する側になるためにも決して手放してはいけないこと、それはリアルな自然に身を置くことなのです。
良く寝て、良く食べ、良く動く。これらができていれば生き物としては合格かもしれませんが、私たちは加えて生き甲斐や充実感がとても大切です。
忙しく働くことで生産が上がり給料が増え、欲しいものを手に入れるといったサイクルが最近になって変調してきていると感じています。教育で知識を得て個人個人の能力で社会で存在場所を見つけてきたはずなのに、AI技術を活用した人工知能がもたらす成果がアイデンティティを持ち始めてきているようです。
仲間や家族とのスキンシップやコミュニケーションは人間でなくても動物界では普通に存在しています。生き残るために集団を形成するものもいれば、縄張りをつくり他者を排除するものもいます。
野生生物でない私たちが心と肉体の健全さを維持していく為に必要と思う要素は何でしょうか。7つ挙げてみました。
1:好奇心をもって面白がること
2:夢中になる遊びをすること
3:植物に接したり森林の中ですごすこと
4:軽く息が弾むくらいで歩くこと
5:人と接すること
6:自分の思い通りにならないことを体験すること
7:人間が創り出すことができない自然の中にすごすこと
いかがでしょうか。登山はこれらの要素の多くを含むのではないでしょうか。
登山は四季を通じて低山からアルプス、緑の山から雪の山まで、整備されたトレイルから不確定要素が多いバリエーションルートまで自由に選ぶことができます。
自由に選べるからと言っても、誰もが好き勝手に行って良いわけではありません。自分の体験を通じて、知らないことやできないことが多いことに気が付いてほしいと思います。自分にとって未知なる挑戦においてはSNSやAIが提供する情報をあえて遮断してみることも大切です。不安に押しつぶされそうになりながら、挫折する経験はとても貴重なのです。
一方、緑の森を歩く登山なら、ゆっくり歩いて様々な植物を観察してみることをおすすめします。春ならば可憐な花ばかりでなく、ここまで地味でなくても良いのでは?と感じてしまうような植物にも出合えます。名前がわからなくても、じっくり観察してみてはいかがでしょう。
植物と他の生き物との共生に目を向けると新たな視点が生まれるかもしれません。
武田信玄の軍旗に書かれた「孫子」の句「動かざること山の如し」が良く知られていますが、人生という時間軸においては確かにその通りですが、地形は火山活動や地殻変動によって形作られ、風雨雪や温度差などの風化作用を受けて変化しています。
出合った地形を好奇心をもって観察し、調べてみると山ですごす時間だけでなく、帰宅後の時間も楽しいものになることでしょう。
一人で黙々と歩くと何だか脳が休息できた感じがしてすっきりしますね。心地よい疲労が良い睡眠を約束してくれているようでちょっとうれしくなります。でも息が切れるほどのハイペースや他の登山者への対抗心は無用ですからご注意ください。
登山中に見ず知らずの人と出合い、自分の仕事や生活との接点がない他人との会話を通じたコミュニケーションもとても貴重な時間です。
自然の舞台に同じものは存在しません。いつもの仲間であってもお互いに新たな発見があることでしょう。
自然の中ですごすのは登山だけではありません。ロッククライミングやラフティング、フィッシングなども良さそうです。
小さな子供から高齢者が一緒に楽しみながら、世代を超えて知識や経験を伝えられるので整備されたトレイルをゆっくり歩く森林浴ハイキングもおすすめです。
4月、新たな職場や環境にまだなじめない方も多いかもしれません。半日、一日でも家から出て、公園や裏山、神社など緑の中を散歩から始めてみてはいかがでしょうか。
また、指導的立場にいる方や管理職、経営に携わる責任ある立場にいる方こそ、自然のパワーでリフレッシュしてほしいと思います。
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