岸信介の「安保」と安倍晋三の「安保」はこれほど違う
フーテン老人世直し録(175)
長月某日
安保法案が成立した。7月中旬に衆議院で強行可決した時点から今国会での成立は議会運営上確実となっており、あとは国民の合意形成をどう図るかが問われていた。しかし安倍政権に合意形成の意思はなく、ブッシュ(子)政権以来の米国と同様に日本は分断国家への道を進む事になる。
国民の理解が進まないのに安倍総理はなぜ安保法案の成立を急いだのか。その答えの一つとして、祖父である岸信介元総理の「60年安保改定」と自らの「戦後安全保障政策の大転換」を重ね合わせているという指摘がある。
岸元総理が行った「60年安保改定」は国民の猛反発を受け、空前の反対闘争を引き起こしたが、その後の日本に戦禍は訪れず、むしろ経済大国へと上り詰めた。それが蒙昧な大衆にはいまだに理解されずにいる。その思いを捨てきれない安倍総理は、自分がやろうとしている事が祖父と同じく国民の反対を押し切ってでもやる価値があると考えているというのである。
しかしフーテンが昨年3月に書いたブログ「岸信介と安倍晋三はこれほど違う」で指摘したように、岸信介の「安保改定」と安倍総理の「安保法案」は目指す方向が真逆である。「対米自立」を目指した岸信介と、「対米従属」を強化する安倍総理は、真逆の政治家と言った方が良い。
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