Yahoo!ニュース

オートバイのあれこれ『リッタースーパースポーツの祖・CBR900RR』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今日は『リッタースーパースポーツの祖・CBR900RR』をテーマにお送りします。

ホンダのフラッグシップスポーツモデル『CBR1000RR-R』。

▲CBR1000RR-R〈2024/画像引用元:本田技研工業〉
▲CBR1000RR-R〈2024/画像引用元:本田技研工業〉

この祖先にあたる存在が、1992年(平成4年)に登場した『CBR900RR』です。

▲CBR900RR〈1992/画像引用元:本田技研工業〉
▲CBR900RR〈1992/画像引用元:本田技研工業〉

その佇まいから、一見レーサーレプリカに思われがちですが、この900RRのメインステージは公道。

すなわち、峠道やワインディングを楽しく走れる大型スポーツを目指して開発されたのです。

そんな900RRの最大のハイライトが車重で、900RRは乾燥重量が185kg、装備重量が206kgとなっていました。

当時、オーバー750ccの市販スポーツモデルの車重はだいたい220kg〜250kgでしたから、900RRのこの重さは驚異的だったといえます。

▲88年登場のCBR750。車重は227kgあった〈画像引用元:本田技研工業〉
▲88年登場のCBR750。車重は227kgあった〈画像引用元:本田技研工業〉

また、車体の小ささも際立っており、900RRのホイールベースはなんと1,405mm。

これは、同時期に発売していた『CBR600F』と全く同じ数値で、さらに言えば、同じ92年にデビューした『CB400SF』より50mmも短く、96年登場の『ホーネット(250)』と比べても10mm短かったのです。

▲250ccの『ホーネット』よりもショートホイールベースだった〈画像引用元:本田技研工業〉
▲250ccの『ホーネット』よりもショートホイールベースだった〈画像引用元:本田技研工業〉

中型クラスのスポーツバイクよりもホイールベースが短い大型車というのは、まさに常識破りでした。

そしてこの900RRは、大型スポーツモデルの在り方を変えたといって差し支えありません。

それまでの大型スポーツバイクは、どちらかというとエンジンパワー頼みなところがありましたが、900RRが現れて以降は、エンジンパワーはそこそこに、車体の軽さやアジリティ(敏捷性)で速さを求める開発手法が主流となりました。

▲900RRに通ずるキャラクターのヤマハ・YZF-R1〈1998/画像引用元:ヤマハ発動機〉
▲900RRに通ずるキャラクターのヤマハ・YZF-R1〈1998/画像引用元:ヤマハ発動機〉

98年に登場したヤマハ『YZF-R1』をはじめ、2000年代以降主流になった1,000ccのスーパースポーツモデルも、“いかにパワーを上げるか”ではなく、“いかにバイクをコントロールしやすくするか”に主眼が置かれ、そのやり方が現在にいたっては正統派なものとなっています。

デビュー時には、レースレギュレーションにも則しておらず、また特段ハイパワーなバイクでもなく、やや異端的な存在だったCBR900RR。

しかし、今になってみれば、それは21世紀の大型スポーツバイクのスタンダード・フォーマットだったのです。

▲900RRのコンセプトは今、“正統”となった〈画像引用元:本田技研工業〉
▲900RRのコンセプトは今、“正統”となった〈画像引用元:本田技研工業〉

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

Rotti.の最近の記事