【オートバイのあれこれ】ニックネームは「東京タワー」!?
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「ニックネームは“東京タワー”!?」をテーマにお話ししようと思います。
「スズキのバイクの中で衝撃的なモデルは?」と聞かれると、なんと答えるでしょうか。
「そりゃぁ、カタナでしょ!」と答える人が最も多いかもしれませんね。
たしかに「カタナ」こと『GSX1100S KATANA』は、デビュー時にその斬新(奇抜?)すぎるルックスで世間の度肝を抜きました。
デビューから40年以上が経った今も、その独特なフォルムは見ていて飽きないほどですね。
ただスズキには、このカタナにも全く見劣りしない、かなり攻めたスタイルのオートバイが他にもありました。
『GSX400X インパルス』です!
もう言葉で説明するより、上の画像を見てもらったほうが早いでしょう。
何より強烈なのが、朱色のフレーム。
デビュー時(1986年)にはGSX400Xのことを「東京タワーみたい」なんて言っていた人も少なくなかったようですが、たしかにこのフレームは東京タワーの鉄骨部分に似ている気がします。
’80年代のスズキは1100カタナに始まり、初のレプリカモデル『RG250ガンマ』を作ったり、油冷エンジンを開発したりと、他のどのメーカーよりも攻めの姿勢を貫いていたわけですが、その攻勢がスタイリングデザインの部分に最も分かりやすく映し出されたのが、このGSX400Xだったと言っていいでしょう。
ただ、GSX400Xにおけるスズキの攻めの設計は、外観だけにとどまりません。
エンジンの作りを観察してみると、特殊な所があるのが分かります。
形式自体は4スト並列4気筒でオーソドックスなのですが、冷却方式がなんと水冷・油冷・空冷の3つを織り混ぜたハイブリッド方式だったのです!
最も熱を持つエンジンヘッドは水冷、シリンダーは空冷、そして腰下(クランクシャフト等)は油冷となっており、スズキはこのシステムを『SATCS(SUZUKI Advanced Three-way Cooling System)』と名付けていました。
何とも複雑というか、お金がかかっていそうというか…、いかにも当時っぽいバブリーなメカニズムに思えますね。
当時はレプリカブーム最盛期で、ネイキッドスタイルのGSX400Xはあまり支持されなかったものの、それでも存在感・独創性という点ではピカイチだったと言って差し支えないでしょう。
まさしく、“衝撃(≒IMPULSE)”なオートバイ。
車名の「インパルス」は、伊達ではなかったのです。
画像引用元:スズキ