自転車用ヘルメット着用努力義務化から考える「子どもに交通ルールを教える責任があるのは誰か」。
4月1日から自転車乗車時のヘルメット着用が”努力”義務化されました。これまでも道路交通法第63条の11では、「13歳未満の児童または幼児を保護する責任のある者は、児童または幼児を自転車に乗車させるときは、当該児童または幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない」と定められていましたが、今回は同法の改正で、全年齢が努力義務の対象になったのです。
”努力”義務なので罰則はないため、法改正の効果がどれくらいあるかはわかりませんが、小さな一歩でも踏み出せたのは、良かったのではないかと思います。
さて、年度も変わり、入園・入学祝いにお子さんやお孫さんに自転車をプレゼントするかたもおられるのではないかと思いますが、今回は「自転車に乗るための交通ルールを教えるべき責任者は誰なのか」について、考えてみたいと思います。
真っ先に思い浮かぶのは都道府県の警察ですが、警察が主催して公募したとしても、集まる人は「安全意識の高い人」に限られるでしょう。何しろ二輪のライディングスクールがそうですから。次に考えられるのは学校です。授業の一環として設定すれば、すべての学童が受講できます。でも先生が指導するのは困難でしょうから、地域の安全協会や警察に協力してもらう必要があるでしょう。
しかし学校は、学業と集団生活を学ぶところですし、これ以上、先生の負担を増やすのは難しいでしょう。それに、自転車に乗れるようになる年齢は、個人によってバラバラです。そうなると「何年生で教えたらいいの?」という問題も出てきます。
実は、僕は以前から「自転車に乗る交通ルールを教えるべき責任者は、”乗りかたを教えた人”または”自転車を買い与えた人”であるべきだ」と考えています。自転車はいきなり乗れるようになるものではなく、必ず”乗りかたを教えた人”がいるはずです。最近ではストライダー(キックバイク)から自転車に乗り換えて、すぐに乗れるようになる子もいるようですが、それでも”自転車を買い与えた人”はいるでしょう。
自転車に乗れるようになれば、いずれ公道を走るのは必然です。自動車教習所だって、実技と学科の両方を教えなければ公認してはもらえません(実技だけ教える教習所もありますが、そこの卒業生は運転免許試験場での試験が免除になりません)。ならば自転車だって、”乗れるようにした人”が、交通ルールを教えるところまで責任を持つのは当然ではないでしょうか?
令和元年の統計を調べてみたら、30歳以上70歳未満の男性の運転免許保有率は90%を超えていました。女性は25歳以上65歳未満で80%を超えています。となれば、”自転車の乗りかたを教えた人”か”買い与えた人”には、かなりの高確率で”道路交通法を学んだことのある人”がいるはずですから、それを子どもに教えることができないというケースは稀でしょう。免許を持っていなくても、自身が自転車に乗っていれば、交通ルールは知っている必要があります。
しかも、他人に正しく教えるということは、本人の学び直しにもつながるはずです。子どもさんに交通ルールを教えることを契機に、自分も襟を正すことができれば、より安全な交通社会ができるのではないでしょうか。