上り線を撤去し棒線化予定! 沈下橋の架かる久慈川河畔の交換駅 水郡線 下小川駅(茨城県常陸大宮市)
JR東日本労組水戸地方本部が、令和5(2027)年3月ダイヤ改正について発表した情報から、水郡線の下小川駅と東館駅が棒線化されることが分かった。水戸~安積永盛間137.5キロを結ぶ水郡線(本線)には、常陸青柳、下菅谷、上菅谷、瓜連、常陸大宮、玉川村、山方宿、下小川、上小川、常陸大子、東館、磐城塙、磐城棚倉、磐城石川、谷田川と15の交換駅があるが、この2駅の棒線化により、山方宿~上小川間12.1キロと常陸大子~磐城塙間25.7キロでは列車の行き違いができなくなる。前者はともかく後者は県境を挟む区間とはいえかなりの距離で、ダイヤが乱れた際の変更や臨時列車の運転に際して制約が生じそうだ。
では、今回棒線化が予定されている2駅とはどのような駅なのか、この記事では下小川駅の方を紹介していこう。
下小川駅は大正14(1925)年8月15日、大郡線が山方宿~上小川間を延伸した際に開業した。大郡線は常陸大宮と郡山を結ぶことを目的として建設された路線で、水戸~常陸大宮間の水戸鉄道が国有化された際に水郡線に改称されている。
駅名の由来は開業時の所在地・久慈郡下小川村で、昭和30(1955)年3月31日に大子町と山方町に分割合併されて消滅している。駅のある盛金地区(旧:久慈郡盛金村)は山方町に編入され、平成16(2004)年10月16日の合併で常陸大宮市の一部となった。
駅舎は開業時のものが80年近くに渡って使われてきたが、平成15(2003)年に言っ罪の2代目駅舎に改築された。立格子が印象的な和風の佇まいで、翌年には鉄道建築協会賞を受賞しているが、駅舎としては極めて簡素な造りだ。
ホームは相対式2面2線。駅舎側が常陸大子・郡山方面下りホーム、反対側が水戸方面上りホームだ。棒線化に際しては上りホームが撤去され、下りホームに集約されることとなる。駅裏に出口があるわけでもないので、棒線化に際して構内踏切と上りホームは立入禁止となることだろう。
駅周辺の見どころとしては、400メートルほど南にある平山橋が挙げられる。川が増水した際には水面下に沈む沈下橋で、水郡線に沿って流れる久慈川にはいくつか架けられている。茨城県では「地獄橋」とも呼ぶそうだ。
東館駅と共に棒線化され、上りホームが廃止となる下小川駅。交換駅であるうちに水郡線で訪れて、次の列車までの待ち時間で平山橋を渡ってみてはいかがだろうか。当駅で列車が行き違うのは14時台、16時台、19時台の一日3回だ。