東海道・山陽・九州新幹線が11日から減便 大ナタをふるったダイヤの全容は?
JR東海・西日本・九州の3社は、それぞれが運行する新幹線の運転計画見直しを、5月7日に発表した。11日から大幅削減ダイヤでの運行となる。
すでに臨時列車の運行休止が行われていた東海道・山陽・九州新幹線。九州新幹線は定期列車の運休も行われていた。
東海道新幹線は、定期列車のダイヤに、多数の臨時「のぞみ」を走らせるというスタイルでふだんは運行されている。ことしの3月14日のダイヤ改正からは「のぞみ12本ダイヤ」をついに達成し、最大で「のぞみ」を1時間に12本、「ひかり」を2本、「こだま」を3本(東京発)で走らせることができるようになった。
しかし、いまだに「のぞみ」の1時間12本運行は行われていない。新型コロナウイルスにより、臨時列車を走らせないという措置をとったからだ。東海道・山陽新幹線では、定期列車だけでダイヤを構成している。東京発の「のぞみ」では昼間に新大阪行・広島行・博多行が運行されている。その昼間の「のぞみ」の運行区間を変え、本数を削減するという手法を今回は取った。
どれだけ列車が減るのか
JR東海の発表によると、東海道新幹線の「のぞみ」を普段の平日には164本運行していたものを、101本に減少させるという。2019年度の1日平均は、臨時列車をふくめて230本だった。ただし、「ひかり」「こだま」は減少しない(もともと少ない)。
JR西日本の山陽新幹線は、「のぞみ」を105本から53本にするという。九州新幹線直通の「みずほ」を16本から4本に、「さくら」を37本から25本にする。一方で、「みずほ」「さくら」を減少させたぶんを、博多発着の「ひかり」として運行し、31本の運行を37本に増やす。なお、各駅停車の「こだま」「つばめ」はそのままだ。
JR九州の九州新幹線はもっと大胆だ。看板列車の「みずほ」を大幅に減らしただけではなく、「さくら」を50本から34本に、「つばめ」を55本から45本にする。
山陽新幹線の、東京から直通する「のぞみ」の本数の減りが激しく、また山陽新幹線から九州新幹線に直通する「みずほ」の減りも激しい。
では、時刻表はどうなっているのか。
区間運休、長時間停車などの活用
今回の定期列車削減にともない、東海道新幹線では毎時00分発の新大阪行の運休、東京~博多間の新幹線では新大阪で運行を打ち切る列車も登場。東京~広島間の列車でも、新大阪~広島間は運行しないという措置をとった。
また、山陽新幹線から九州新幹線に直通する「さくら」は、近い時間帯の列車を1本の列車に集約するために博多で20分程度の長時間停車をする列車も現れる。臨時「さくら」がそれだ。
もともと本数の多い東海道新幹線では山陽新幹線に乗り入れないようにし、山陽~九州新幹線の列車は本数を集約ということになった。
東海道新幹線がポリシーとしていた高頻度速達運行は難しくなり、岡山・広島方面も需要にあわせた運行となる。このあたりの新幹線はこれまで時刻表を意識しなくても乗ることができたものの、この状況ではそうもいかなくなっている。
また関西圏~九州圏(熊本・鹿児島方面)の移動も時間がかかるようになり、「みずほ」が削減されたことで大きな影響が出ている。
急な運転計画見直し
運転計画見直しは、5月7日に発表となり、11日から実行に移されることとなった。あまりにも急だ。なお、これにともなうきっぷの払いもどしなどの手数料は無料となる。
ここまで急な見直しの背景に、「緊急事態宣言」が延長され、4月の利用状況と同程度の利用状況ならば、本数は削減してもいいと各社が判断したということが挙げられる。ゴールデンウィークの利用状況も前年に比べると大幅に減少した。
4月の利用状況を見て各社で相談を行い、臨時のダイヤを決定し、ゴールデンウィーク明けに発表したということになるだろう。急ではあるものの、3社は「緊急事態宣言」が延長されることを見越してこのダイヤを作っていた。
急なダイヤ変更、それも大ナタをふるったかのダイヤ変更は、ある程度新型コロナウイルスに対して厳しい見方をしていないと、できないものである。現実に新幹線の乗車率が大きく減少し、利用者が少ない状況を考えると、やむを得ないことと思われる。
この発表が行われたのち、5月8日には、JR東日本も新幹線や特急の減便を発表。こちらの詳しい内容の公表は、5月中旬を予定している。