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シリアのアル=カーイダの支配地域に所属不明のドローンが墜落、農地で火災が発生

青山弘之東京外国語大学 教授
Enab Baladi、2020年5月26日

ロシアとトルコの合意に基づく停戦が続くシリア北西部で5月26日、武器を搭載した所属不明の無人航空機(ドローン)1機が墜落し、農地で火災が発生した。ドローンが墜落したのはシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構の支配地。

英国を拠点に活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから82日目となる5月26日、シリア北西部でのシリア・ロシア軍、トルコ軍の爆撃は確認されなかった。

だが、アレッポ県では、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構の支配下にあるカフル・ナースィフ村で、武器を搭載した無人航空機(ドローン)1機が墜落し、農地で火災が発生した。

LiveuaMap、2020年5月26日
LiveuaMap、2020年5月26日

ドローンの所属は不明だが、5月25日には、「イランの民兵」に所属すると見られるドローンがイドリブ県ザーウィヤ山地方のバーラ村近郊で、トルコの支援を受ける国民解放戦線(国民軍)の第1歩兵師団の司令官の車輌を爆撃し、乗っていた司令官を殺害している(「シリアで復興とポスト・コロナを見据えた新たな動き」を参照)。

また、5月21日には、トルコの占領下にあるアレッポ県北西部のいわゆる「オリーブの枝」地域で、米主導の有志連合所属と思われるドローンが走行中の車を狙って爆撃を行い、イスラーム国ハマー州司令官を含む2人を殺害している(「トルコ占領下のシリア北西部で、所属不明のドローンが爆撃を行い、大金を運ぶイスラーム国の司令官を殺害」を参照)。

なお、シリア国内では最近、砲撃による火災発生が頻繁に報じられるようになっており、ハマー県では、5月26日、シリア軍がシャーム解放機構などの支配下にあるガーブ平原のカルクール・ダム(カルクール村)一帯を砲撃し、農地で火災が発生した。

また、ハサカ県では、ラアス・アイン市近郊のトルコ占領地と北・東シリア自治局支配地での境界地域で、自治局側の消防チームがトルコ軍と国民軍の砲撃で発生した火災への消火作業を続けた。

(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)

東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリアの友ネットワーク@Japan(シリとも、旧サダーカ・イニシアチブ https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』など。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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