SDGsという観点からも、ここ数年は規格外の野菜を安く購入できる機会が増え、クッキーやケーキなどのスイーツに取り入れるお店も増加してきたように思えます。以前は子供のおやつという印象が多かった野菜のお菓子も、今では健康への関心が高い大人向けの商品も沢山。

デパ地下を散策していると、思いがけないものに出会えることが多々あります。ふと興味をひいたのは、野菜のあんぱん。しかもそのネーミングがまた直球と申しますか、潔いと申しますか…！

今回は、十文字学園女子大学の生徒さん、木下製餡さん、喜福堂さんがタッグをとって完成したという「きれいのみかた」をご紹介。

喜福堂さんは、1916年創業の都内でも人気の高い老舗のパン屋さん。あんぱんだけでも何種類も揃い（クリームパンも大人気）、度々メディアや都内催事でも引っ張りだこのパン屋さんです。更に、喜福堂さんのあんぱんには欠かせないあんこにお砂糖や水を加えて練り上げる前の段階である生餡を製造していらっしゃるのが、埼玉県に工場を構える木下製餡さんです。

なんとも食欲をそそる淡い小麦肌のパン。アットホームな色味に癒されつつ、こちらの粒はなんだろうと思いきや人参の皮なのだとか。軽やかで塩気と甘味のバランスが整ったパン生地は、お食事としてもおやつとしても食べやすそうな優秀選手のような味わい。確かに噛みしめていると、最後の方に人参のような味わいがほんのり。

隙間から覗くオレンジ色の餡が気になっていたのですが、「ベジフル餡子」という人参がたっぷりのあんこなのだそう！木下製餡さんの白餡と半々の割合で人参を合わせたというあんこは、人参のほかサツマイモの繊維感も損なわれていません。ほんのり甘酸っぱい香りが出迎えてくれるのですが、その正体は柚子。埼玉県のお店から仕入れたという白ごまの香ばしさも効いています。

干し柿のような甘味のあんこは、確かに白ごまの香ばしさやパン生地の塩気と合まって食べやすい！凝縮された人参の甘味が、塩気と入り混じることで全体がやや引き締まるような気が。もう少し甘酸っぱい、いわゆる野菜ジュースのような果実感があった方が食べやすいという意見も家族の中であがりました。これは好みの別れ処ですね。

栄養価の高いパンを作りたい！というあんこ好きの生徒の皆さんが集い発足したという今回の企画。確かに、人参は料理にして沢山いただくというよりも、加工してお菓子や飲み物など日常生活のおやつとしても取り入れた方が食べやすいという方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか。

菓子パンをいただきつつ、それでいて健康に配慮できるとなるとついつい手に取ってみたくなりますね。とはいえ、食べすぎにはくれぐれもご用心です。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ