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記録的に暖かい3月の平均気温、東京では148年間で一番か

饒村曜気象予報士
春の公園で花見をする日本人女性(写真:アフロ)

記録的に早いさくらの開花と満開

 令和5年(2023年)は、3月に入ると、最高気温が氷点下という真冬日を観測する地点はほとんどなくなり、最低気温が氷点下となる冬日を観測する地点も減り、逆に最高気温が25度以上の夏日が出始めました(図1)。

図1 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年12月1日~令和5年3月30日)
図1 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年12月1日~令和5年3月30日)

 夜は気温が低い地方でも、日中の気温が高くなったことから、さくらの開花が早まり、東京では、3月14日に統計のある昭和28年(1953年)以降で、令和2年(2020年)、令和3年(2021年)と並んで、最早タイ記録でさくらが開花しました。

 沖縄・奄美のヒカンザクラの開花を除くと開花の一番乗りです。

 翌15日には横浜で、翌々日16日には岐阜など、各地で記録的な早さでさくらが開花しています(表1、表2)。

表1 さくらの開花(その1)
表1 さくらの開花(その1)

表2 さくらの開花(その2)
表2 さくらの開花(その2)

 東京ではさくらの開花後にちょっとした寒気が南下してきたため花冷えとなり、開花から満開を経て見頃が終わるまでの期間が少し延びています(図2)。

図2 東京の最高気温と最低気温の推移(3月31日~4月6日は気象庁、4月7日~15日はウェザーマップの予報)
図2 東京の最高気温と最低気温の推移(3月31日~4月6日は気象庁、4月7日~15日はウェザーマップの予報)

春爛漫の陽気

 3月最終日の31日は、低気圧や前線に向かって湿った空気が流れ込むため、南西諸島では雨が降り、雷を伴って激しく降る所もある予想です。

 また、西~東日本は太平洋側を中心に雲が広がる見込みで、九州南部では午前中を中心に雨が降るでしょう。

 その他の地方は概ね晴れますが、低気圧が通過する北海道ではにわか雨や雷雨の所がありそうです。

 気温は全国的に平年より高くなり、特に東北から北陸、西日本の日本海側では5月並みの気温と、春爛漫の陽気になりそうです。

 東京ではさくらの見頃の期間がそろそろ終わりですが、東北南部から東日本、西日本の多くの地方では最後の見頃となっています。

 まだ開花していない北海道や東北北部では、今後も気温が高い日が多くなるという見込みから、例年よりかなり早い開花が予想されています(図3)。

図3 さくら開花前線(ウェザーマップ予想)
図3 さくら開花前線(ウェザーマップ予想)

記録的な3月の高温

 全国的にさくらの開花や満開が早まったのは、令和5年(2023年)3月の気温が北日本や東日本で記録的に高かったことによります。

 東京では、明治9年(1876年)から令和4年(2022年)まで147年分の3月の月平均気温がありますが、これまで一番高かったのは、令和3年(2021年)の12.8度です(図4)。

図4 3月の東京の平均気温(青ラインは明治9年(1876年)~令和4年(2022年)、オレンジラインは平成13年(2001年)~令和4年(2022年))
図4 3月の東京の平均気温(青ラインは明治9年(1876年)~令和4年(2022年)、オレンジラインは平成13年(2001年)~令和4年(2022年))

 令和5年(2023年)3月の平均気温は、あと一日ありますが、平年より高い予報ですので、12.9度くらいになりそうです。

 つまり、観測史上最も平均気温が高い3月になりそうです。

【追記(4月2日13時30分)】

 令和5年3月の平均気温は12.9度と、過去最高となりました。

 

 これまで、一番低かったのが明治18年(1885年)の4.9度ですが、21世紀に入ってから一番低いのは平成23年(2011年)の8.1度です。

 そして、19世紀、20世紀の観測では、10.5度を超えたことがなかったのですが、21世紀では、昨年までの22年間で11回と、半数が10.5度を超えています。

 私たちは、昔に比べたら、かなり暖かい春に生活しているのです。

図1、表1、表2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2の出典:気象庁ホームページと、ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:ウェザーマップ提供。

図4の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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