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ハザードマップで危険度を知る方法!ポイントは災害情報を重ねて確認すること

栗栖成之防災士ライター
出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ関東地方

先日ある集まりにて「ハザードマップに種類があり過ぎて、どこが危険なのか分からん!」と、山田さん(仮名)にいきなり怒られてしまいました。

実は以前、勉強会で「ハザードマップで自宅の災害リスクを確認しておきましょう」と伝えたのですが、筆者の説明が不足していたようで、ハザードマップをどのように利用すればよいか分からないとのこと。

もしかすると、多くの方が同じ思いをしているのかもしれません。そこで今回は、ハザードマップによるリスク確認の方法を解説します。

WEBにて自治体のハザードマップの確認まで手順が多い

まず、山田さんが言うには「姫路市のハザードマップが直ぐに見られない!」とのことでした。今回は姫路市を例に挙げますが、同じような自治体も多いはずなので、ぜひ参考にしてください。

Google検索結果

Googleにて「姫路市 ハザードマップ」でワード検索すると、以下のような検索結果となります。

出典:Google
出典:Google

Yahoo!JAPANでの検索結果

また、Yahoo!JAPANでも同様に検索すると、以下の結果が表示されます。

出典:Yahoo!JAPAN
出典:Yahoo!JAPAN

いずれの検索エンジンでも、トップ表示は同じサイトです。最上位にある「ハザードマップ | 姫路市」をクリックすると「姫路市WEBマップ」ページにアクセスしますが、ハザードマップに辿りつくまでにはもう1~2アクション必要です。

これは、さまざまな情報を、1つのプラットフォームで閲覧できるようにしているためで、決して姫路市のアクセス方法が悪い訳ではありません。

検索結果からハザードマップへのルートが分からない

どうやら山田さんは「各種ハザードマップ」から、順にクリックしていたことが分かりました。

スマホを見ながらこのことを伝えると「そんなん、教えてもらわんと分からん」と・・確かに、ハザードマップの閲覧手順を紹介したページはありませんからね。

そこで、そんな山田さんに次の方法を伝えました。

すぐにハザードマップを閲覧するなら「重ねるハザードマップ」がおすすめ!

出典:ハザードマップポータルサイト
出典:ハザードマップポータルサイト

スマホやパソコンでWEB版のハザードマップを直ぐに確認したいなら、国土交通省が公開している「重ねるハザードマップ」がおすすめです!

  • 全国をシームレスで確認できる
  • 土砂災害・洪水・内水・高潮・津波などを重ねて表示が可能
  • 自治体よりも更新が早い
  • 地図データだけでなく航空写真も表示できる

主なおすすめ点は、上記の通りです。ほかにも便利機能がありますが、またの機会に紹介させていただきましょう。

土砂災害は種類が多い!全ての警戒区域内で避難が必要

山田さんだけでなくほかの方からも「土砂災害の種類が多過ぎる!どれが一番危険なのか知りたい」との声が上がりました。

土砂災害では以下のように、種類が多いのは確かです。

  1. 急傾斜地の崩壊:特別警戒区域&警戒区域
  2. 土石流:特別警戒区域&警戒区域
  3. 地すべり:特別警戒区域&警戒区域

細分化すれば6種類にものぼるため、迷うのは仕方ないでしょう。しかし、どの種類が一番危険だと順位は付けられず、全ての警戒区域が危険と思ってください!

確かに特別警戒区域の方が警戒区域よりも危険度は高いですが、警戒区域でも土砂災害に巻き込まれるリスクは十分にあるからです。

リスクを確認するなら全ての災害種類を重ねて確認しよう!

出典:ハザードマップポータルサイト
出典:ハザードマップポータルサイト

上記は横須賀市の沿岸部を含んだ地域を、後述する4種類の災害を重ねて表示した画像です。

重ねるハザードマップのメリットは、全ての災害種類を重ねて表示できる点にあります。

従って自宅や目的地の災害リスクを確認するなら、全ての災害種類を重ねて表示することが重要です。

基本的に台風や大雨の際に確認するのは「洪水・内水・土砂災害・高潮」の4種類の災害を重ねて確認します。

津波は特別なので、普段から津波によって自宅がどれだけ浸水するかを、確認しておきましょう。津波を含んでしまうと、大雨で浸水しない地域までも着色されるため、普段は表示から省いておきます。

Q:大雨時の危険度を確認!次のA~Eの中で自宅避難が可能なのは何か所あるでしょう?

出典:ハザードマップポータルサイトを筆者が加工
出典:ハザードマップポータルサイトを筆者が加工

ここで上記のハザードマップを見て、危険度を判定してみましょう。大雨時にそれぞれ吹き出しが指す場所で、自宅避難できるのはA~Eのうち何カ所あるでしょう。

浸水深の凡例が見にくいかもしれないため、次に凡例を大きく表示しておきますね。

出典:ハザードマップポータルサイトを筆者が加工
出典:ハザードマップポータルサイトを筆者が加工

  • 黄色:0~0.5m 大人の膝までつかる
  • 肌色:0.5~3.0m 1階天井まで浸水する
  • 濃い肌色:3.0~5.0m 2階部分まで浸水する
  • 橙色:2階の屋根以上が浸水する

【回答】自宅避難できるのはCとD・Eは2階への垂直避難は可能!

出典:ハザードマップポータルサイトを筆者が加工
出典:ハザードマップポータルサイトを筆者が加工

先の質問の回答で自宅避難できるのは、CとDの範囲です。また、Eは浸水深が最大3.0mなので、2階以上の建物なら垂直避難が可能です。

  • C:このエリアはどの災害の影響も受けない
  • D:浸水被害のみで、最大浸水深が0.5mなので概ね浸水しない。ただし、道路よりも低い土地では垂直避難が必要
  • E:最大浸水深が3.0mなので2階以上に垂直避難が可能

そのほかの場所は以下の理由で、必ず避難しないといけません。

  • A:土砂災害警戒区域内であるため避難が必要
  • B:警戒区域との境界にある地域は避難した方が安全

もちろん、一般的な住宅では浸水深が3.0m以上になれば避難が必要ですし、土砂災害の警戒区域内であれば避難しないと命に関わります。

このような説明で山田さんは取り敢えず納得

ここまでの説明を重ねるハザードマップを見ながら、吹き出しの内容を口頭で説明しました。

これまで、山田さんは土砂災害と浸水被害を、紙ベースで別々でしか見たことがないとのこと。今回スマホにて重ねて説明すると「これなら分かりやすいわ!」と納得してもらえました。

もしも山田さんと同じように、ハザードマップをどうやって見ればよいか分からなかった方は、本記事を参考に改めて確認してみてくださいね。

重ねるハザードマップは、こちらからアクセス可能です!

防災士ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!

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