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子育てを終えた人たちが「こうすればよかった」と思うこと

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

子育てが終わった人たちとの座談会で聞いた話を紹介します。

●子どもの成長は早い。あっという間に大きくなった

●仕事や家事や雑事に追われているうちに、気づいたら子どもは大人になっていた。もっと楽しめばよかった

●いろいろ心配したけど、成長するにつれてだんだん何とかなってきた。あんなに叱らなくてもよかったように思う

●子どもはあっという間に大きくなってしまった。もっと子どもといちゃいちゃすればよかった

●しつけや勉強のことでうるさく言い過ぎた。それより、もっと子どもと仲よくすればよかった

●もっとおしゃべりしたり、スキンシップや笑い合ったりする時間を取ればよかった

話を聞きながら私が思ったのは、「こうしたことに子育て中に気づくことができれば、もっと子育てを楽しめるのになあ」ということでした。

実は、子どもが「本当に子どもらしい子ども」でいる期間は意外と短いものです。個人差も大きいですが、だいたい小学4年生くらいまでと思っていればいいかもしれません。女子はその頃から、そして男子はその2年後くらいから思春期前期に入ります。

子どもが相手をしてくれるうちが花

その頃から親との関係より友達との関係が重要になり、親の相手をしてくれなくなります。その後すぐ反抗期もやってきます。

ですから、子どもが相手をしてくれるうちが花です。「見て見て」など、子どもから話しかけてきてくれるのは今だけかもしれません。

子どもを抱っこできるのは今だけかも。子どもの靴下をはかせてあげられるのも今だけ。子どものほうから話しかけてくれるのも今だけ。子どもが親の相手をしてくれるのも今だけ。

今のうちにこの幸せをかみしめて味わっておいたほうがいいと思います。今のうちに親子の触れ合いをたっぷり楽しんで、共感的でよい親子関係を作っておきましょう。後で振り返ってみると黄金の日々だったということになるからです。

子育て中は「はやく大きくなって」と思うことも多いと思います。でも、子どもが少し成長すると「あの頃はよかった。もう一度あの頃に戻ってほしい」と思ったりもします。

子育ては、この2つの気持ちの間を行ったり来たりの繰り返しなのだと思います。そして、容赦なく時は過ぎ、子どもはどんどん成長してあっという間に大きくなります。

子どもが親と一緒にいてくれる時間は短い

子どもの一年一年ははやいです。小学生になったら子どもは園児には戻れません。親も園児の親には戻れません。幼稚園のわが子を見たいと思ってももう二度と見られないのです。

中学生になったら子どもは小学生に戻れません。親も小学生の親には戻れません。小学生のわが子はもう二度と見られないのです。

最後に気になる研究を紹介します。関西大学の保田時男教授によると、母親がわが子と共に過ごせる時間は約7年6ヶ月(約65,700時間)だそうです。父親はその半分で約3年4ヶ月。

入園時には18%が過ぎていて、卒園時に32%、小学校卒業時に55%、高校卒業で親元を離れる場合は73%も過ぎ去ってしまいます。子どもが親と一緒にいてくれる時間は無限ではなく、意外と短いということですね。

教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。Instagram、Threads、Twitter、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」などで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、オンライン講演、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メルマガ、講演のお問い合わせなどについては「親力」で検索してHPから。

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