#なくそう子育て罰 子ども基本法・子ども予算倍増で主要政党一致、問われる自民党の進化#衆院選2021
今回の衆議院選挙は、子ども若者にも親にも冷たく厳しい子育て罰大国・日本を、親子にやさしくあたたかい日本にするための選挙になるでしょうか?
子育て罰をなくしたい有権者のみなさんにとって、投票の参考となる重要な政党アンケートが今週公表されました。
広げよう!子どもの権利条約キャンペーンとセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが共同で、主要政党に子ども政策(こども庁、子ども基本法、子どもの参画など)に関するアンケートを実施し結果を公表したのです(国民民主党は回答中)。
※広げよう!子どもの権利条約キャンペーンHP・【衆議院選挙に向けて】子ども政策に関する政党アンケート調査を実施しました(2021年10月20日)。
その結果のポイントを紹介していきます。
なお本記事での見解は筆者個人のものであり、アンケート実施団体の見解とは関係ありません。
1.子どもの権利擁護機関は、自民党のみ消極姿勢?
虐待・いじめ・不登校・両親の離婚などに悩む子どもの問題解決のためにも不可欠
表をひと目みて分かるのが、子どもの権利擁護機関(子どもの意見表明を専門家がサポートしたり、子どもの権利侵害等の相談や改善を進めるための機関)について、自民党だけが△と回答しているということです。
該当部分のくわしい回答は以下のとおりです。
主要政党の違いが際立ちますが、自民党以外の政党は日本維新の会を含め、いずれも子どもの権利擁護、子どもの利益の実現など、子どもの人権を推進する機関についてその必要性を〇と回答していることがわかります。
では△と回答した自民党は消極姿勢なのでしょうか?
回答をよく読むと「当事者(子ども)から意見を聴く」仕組みについて主に述べており、子どもの権利を推進する政府の専門職である「こどもコミッショナー」について言及しています。
この「こどもコミッショナー」が子どもの人権・権利を推進できる職なのか、が衆院選後の子ども基本法のポイントになります。
2.子ども基本法では全主要政党が賛成
子どもの権利を包括的に保障するための国内法が子ども基本法です。
子ども基本法については、全主要政党が賛成しており、衆院選後の与野党を超えた取り組みが期待されます。
具体的な回答を確認すると、子どもの最善の利益、子どもの権利など、子ども基本法に欠くべからざるキーワードを使って、法の必要性を明言したのは以下の政党になります。
立憲民主党、公明党、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党
逆に、自民・維新の回答には「子どもの権利」「最善の利益」は明記されていません。
しかし維新は、子どもの参画のために子どもの権利を推進する専門職であり「子どもコミッショナー」を 別の項目の回答で明記しており、子どもの権利を推進する姿勢があると判断できそうです。
自民党の回答では「子供の視点・目線」が記載されています。
我が国は子どもの権利条の批准国であり、子ども基本法から子ども自身の権利・最善の利益を置き去りにすることは、「子供の視点・目線」からはありえないことも、理解されていると信じたいものです。
3.子どもの参画については全主要政党が賛成
子どもの声を聞きそれを政策に反映させていく、子どもの参画については全主要政党が賛成しています。
私が知る範囲でも、内閣府、文部科学省では若者が委員として任命されたり、意見ヒアリングを通じて政策形成に参画している事例があります。
国・地方の政治・行政への子ども若者の直接の参画も重要ですし、政府DXの推進により子ども若者の本音を反映できる調査などの充実も期待されます。
4.子ども予算倍増についても全主要政党が賛成
衆院選公約での具体度は立憲・共産・国民・公明に軍配
こども庁は維新・れいわが慎重
子ども予算の倍増についても全主要政党が賛成しています。
ただし私が10月18日の記事で指摘した通り、衆院選公約での具体度は立憲・共産・国民・公明に軍配があがります。
※末冨芳「#なくそう子育て罰 立民・国民・共産・公明は公約充実、 スカスカの自民 #衆院選2021政策比較」
衆院選では給付金ばかりが話題になっていますが、児童手当、教育の無償化など、子どもへの支援を根本的に充実する施策への取り組みこそが重要です。
こども庁については、維新・れいわが慎重姿勢(△)です。
私自身も慎重姿勢をとっていますが、おそらくこの2つの政党は、こども庁の組織論先行による子どもの法制や予算、政策の具体的な改善が後退することを懸念しているのではないでしょうか。
立憲民主党が指摘するように、「ハコより中身」という考え方は重要です。
子どもの権利を保障し予算倍増し、人員も拡充するために省庁をつくることが必要なのであって、こども庁を作ることに目的がすりかわっては意味がありません。
5.問われる自民党の進化
子どもの人権を大切にすると総裁選で明言した岸田総理
自民党右派が子どもの権利実現の「拒否権プレイヤー」とならないか選挙後も注視
広げよう!子どもの権利条約キャンペーンとセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが実施したアンケートでは、全主要政党が、子ども基本法・子ども予算倍増で一致という素晴らしい結果が確認されました。
しかしながら子どもの権利擁護推進や、子どもの権利を子ども基本法に明記するとについて自民党はやや消極的な姿勢にも見えます。
こどもまんなかの総裁選には私も自民党総裁候補4氏の議論の進化に感動しました。
※末冨芳「【速報】「こどもまんなか」の総裁選討論会―予算倍増・こども庁・子どもの権利―脱子育て罰政党への進化?」(2021年9月22日)
いっぽうで、自民党のこども政策の公約はスカスカです。
今回の公約については、こども政策を含め高市政調会長はじめ自民党右派の強い意向があったとも報道されています。
※毎日新聞「自民党公約、高市氏の主張色濃く 『国家の主権と名誉守り抜く』」(2021年10月12日)
子どもの人権を大切にすると、総裁選で明言した岸田総理です。
自民党右派が子どもの権利実現の「拒否権プレイヤー」とならないよう、強いリーダーシップを発揮いただくことを期待しています。
親子にやさしくあたたかい政治を加速させることができるよう、自民党の進化を期待しています。
有権者のみなさんも、子ども若者や子育てを頑張る親のための、具体的な政策をかかげる政党・候補者に投票することを大切にしていただけると、自民党も日本の政治の進化も加速できます。
投票は子育て罰大国・日本を変えるための最重要の手段です。