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保育園の「慣らし保育」は少しずつ・体調や食事は心配だけれど

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
初めての経験が多くて、保育園の慣らし保育は心配もある(ペイレスイメージズ/アフロ)

4月に保育園に入った家庭は、「慣らし保育」の時期でしょうか。子どもは免疫をつけるために病気をもらってきますし、泣いたり食べなかったり、心配は尽きません。娘は1歳になってすぐ入園し、体調がすぐれず、親も弱気になりました。けれど、子どもは新しい世界に刺激を受け、生活のリズムをつかみます。職場の人や、家族にも知ってほしい、慣らし保育の実態をお伝えします。

●せきひどく、慣らしお休み

筆者は会社勤めをしていて、夫が単身赴任だったため、保育園の1歳クラスに入れました。4月入園で、通知が来たのは3月初め。それから先生との面接で、持ち物の用意について聞きます。指定の手作り品や名前・マークつけの多さに驚きました。娘は3月の末、激しいせきが出る病気になり、1週間ほど高熱が続きました。

入園式は出られて、教室でお昼ごはんを食べてみる時間もあり、「上手だね」と先生に声をかけられました。4月は、育休中の有給休暇などで休みが取れる状況でした。娘がまた体調を崩し、小児科で「無理して保育園に行くと、いろいろな病気をもらって、せきがひどくなってしまうので、慣らし保育はお休みするように」と言われました。

●昼食こみ2時間からスタート

当時、保育園で書いてもらった連絡カードを見てみると、4月22日から始まっていました。最初は、朝から2時間の慣らしです。だんだん3時間、4時間とのばしていき、お昼寝をはさみました。

保育園のランチタイムはとても早く、慣らしの時間内にお昼ごはんもあります。食べられないと本人がかわいそうなので、少し時期を戻して7ヶ月向けのごはんから始めましょうと言われていました。

朝ごはんは母乳のみ。ちょこちょこ寝てしまうので生活が不規則になり、まとまって寝るのは夜中。娘の慣らし保育デビューは、ハードな体調で、こんな記述が。「おとといまで、せき込みで吐いていました。今朝はあまり食べなくて、薬も飲めませんでした」

それに対して先生からの報告は、「食事はほぼ食べましたが、みかんはすっぱーい!という表情でやめました。ご機嫌になるのも早く、お部屋のおもちゃを出していました。途中でテラスに出て、お兄ちゃんお姉ちゃんたちに手を振って時を過ごしました」と、まずまずの様子。

● 好奇心あるけど「抱っこ!」

2日目、朝食は母乳と風邪薬。保護者からの欄には「今日も、ごきげんでありますように」と祈りを書いていました。

保育園では、ご飯を半量、お魚を1口食べたよう。「今日はお庭に行きました。お庭の様子に興味津々の様子でしたが、一歩踏み出してみると腰が引けてしまい、保育士に抱っこ!のポーズをとっていました」

3日目も、母乳と風邪薬のみです。保育園での睡眠は、11時45分から12時10分とあります。「おかゆを5口くらい食べた後、いやいやで、眠くなってしまいました。今日はご機嫌とはいかず、自分の置かれている状況がわかってきたようで、遊びたいけど、やっぱり抱っこと泣いてしまうことが多かったです。気分転換に、廊下で押しぐるまを押して遊びました」

こうして見返すと、先生の観察と対応がプロで、娘が好奇心と不安を抱えていた様子がよくわかります。

●おかゆ全量食べて活発に

4日目は、まだせきが出ていました。「慣れるのに時間がかかるようでしたら、5月初めも半日休をとって迎えにきます」と記述があります。「こんな小さい子が、体調も悪いし、大丈夫かなあ」と、筆者は早くも弱気になっていました。

先生からの連絡欄にも、「鼻水」にマルがついていました。お昼寝は45分ほど。「おかゆを全量です!」と先生も喜んでくれています。味噌汁は3分の1。

半休については「ありがとうございます。〇〇ちゃんも安心すると思います」とコメントしつつ、「入室後、しばらく泣いていましたが、いろんなことに興味はあるようで、自分から遊具に手を伸ばす様子も見られます。園庭では昨日より活発でした」。食べる量が増え、活発になったという、前向きな報告に親はほっとします。

●新しい遊びを体験

5日目は朝、母乳だけでなくヨーグルトも食べました。せきと鼻水は、相変わらず。そして筆者は、「保育園指定の寝具入れが、ついに完成した」と先生に報告しています。これが複雑な作りで、四苦八苦でした。

食事は全体の3分の2。「りんごはべーっでした。お昼寝の後、いろんなおもちゃを触っていました。キューピー人形を抱っこしてみたりカゴの中にいろんなおもちゃを入れてみたり、コップでジュースを飲むまねをして楽しみました」と楽しんでいる様子で、自宅ではお人形やおもちゃは買わなかったため、新鮮な遊びだったようです。

個人的につけていた育児日記を見ると、入園時の娘は、1歳になったばかりで母乳を飲む回数も多かったです。そんな成長段階で、体調がよい日は少なく、いつもせきや鼻水が出ていたけれど、生活リズムをつけるために、熱がなければ登園しました。

ゴールデンウィーク明けには、筆者が本格的に職場復帰。慣らし保育ではなく、娘は夕方4時まで、5時半までと保育園で過ごすようになりました。でもしばらく、娘が夜中にせきこんで吐くということが続き、筆者も着がえさせたりケアしたり、寝不足で出勤しました。

●子どもにとって大事な居場所

慣らし保育の際は、新しい世界に一歩を踏み出していかなければならないけれど、心配で…と子どもが大事だからこそ、神経質になって悩む親は多いと思います。

子どもは好奇心が強く、すぐ保育園が好きになります。先生や友達に囲まれ、結果としては5年間、娘にとってなくてはならない居場所でした。

保育園を利用すると、「親の都合でかわいそう」「子どもの気持ちを考えていない」という人もいますが、子どもを主人公にして考えて、居場所は必要なのです。活発になると、家庭だけでは飽きてしまいますし、身内以外の信頼できる人との関係が、子どもの人生を豊かにします。

周囲には、慣らし保育をせずに長い時間から預けて働く親や、0歳クラスに入園する子、最初の1か月は体調不良でほとんど通園できなかった子もいました。子どもの心身の強さは、それぞれです。様子を見ながら、少しずつ慣れるのを見守りましょう。

慣れてからは、「ひんぱんな子どもの病気」という初めての体験がやってきます。それについては、またレポートしますね。

参考記事→育休から復帰、どうする子どもの病気

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ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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