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育休から復帰、どうする子どもの病気

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
子どもの病気は突然やってくる。戸惑う親は少なくない(写真:アフロ)

病気がはやる季節。インフルエンザや胃腸炎にかかった子の話も聞く。春に育児休暇から復職する人は準備の時期だ。娘は1歳の時に保育園に入り、4歳ごろまで病気が多かった。私は会社を遅刻早退したり、欠勤したりと支障が出て、退職につながった。子どもは病気をして免疫をつけるので、悪いことではない。だが復職の前に、よく病気をすることや対処法を知っていれば、親子も周囲の人も大変さを少しは減らせると思う。初めてママとして子どもの病気を体験したレポートを、2回にわたって紹介する。

「子どもの病気」(子育て支援NPOのサイトで連載した「アラフォー初めてママのときどきドキドキジャーナル」より)

新年度、ママが育休から復帰し、保育園デビューするおうちも多いですよね。あるママから「病気がうつるっていうけど、どうなるかなあ」と心配の声が。フットワークのいい身内や親しい人がいれば、困ったときのお世話を頼んでおくといいかもしれません。

病児保育知らないまま復帰

2年前、私は病児保育についてほとんど知らないまま、復帰。急な病気で休ませてもらうと注意され、悲しい思いをしました。育休中、近くの総合病院が運営する病児保育室に行って登録はしたんです。看護師さんに「子どもの熱は3~4日は続く。仕事を休めなくなって利用する人が多い」と聞き、当時は「そこまでして預けなくても」と思ったのですが。

年5日の看護休暇、なくなる

あまり熱を出さないお友達もいる中、娘はなかなか熱が下がらなかったり、続けて別の病気にかかったり、1週間ぐらいは具合が悪いことが多くて、年に5日の看護休暇はすぐになくなります。復帰後、しばらくして病児保育(自宅に来てくれるシッター)の会員になり、医療機関の病児保育室にも何度か行きました。

病児保育室に行ったときの報告書
病児保育室に行ったときの報告書

初めてのかぜ、看病で寝られず

振り返ってみると、娘を初めて救急外来に連れて行ったのは2カ月のとき。夜に突然、吐いてびっくり。便秘して下から押されたみたいで、かんちょうをしてもらって復活。

6カ月のときは初めてかぜをひきました。苦しそうで何度もおっぱいを飲んだり泣いたり、ママも看病で寝られないし、どうしていいかわからなかった。元気なら親子でお出かけできるのですが、具合が悪いとすべてキャンセル。母娘でひきこもり、話す人も代わりにみてくれる人もいない。病院に行けば待ち時間が長くて別の病気になりそう。

知人のメールに救われる

どうにもできないので、病院に行った帰りにドラッグストアでベビー用の飲料(娘は飲まなかったので結局は母乳)、ママ用の栄養ドリンクを買っておきました。そんな中で助けになったのが、仕事で知り合ったベテラン看護師さんからのメールや電話。「病院に行くと疲れるから、家で休んでいて」「具合どう?」と気にかけてもらい、不安がやわらぎました。

そのほか保育園に入るまでは、たまに熱を出したり、吐いたりするぐらい。1歳クラスに入ってしばらくは短時間の「ならし保育」をする予定でした。入園前に夫が単身赴任していた国に連れて行ったら、ひどいせきが止まらなくなり、小児科医に言われてならし保育を延期しました。私の半日休はどんどんなくなりましたよ。

入園したらもっと激しく

強烈なのは通うようになってから。娘は慣れない生活のストレスもあったのでしょう。毎日、夜明けにせきこんで吐いて、泣いて。ママは片付けて着替えさせてなだめて、寝不足でふらふら。

さらに、子どもはいろいろな病気をもらって免疫をつけます。夏は夏かぜ。1歳の夏、手足口病が大流行で、初めて熱性けいれんをおこして救急車のお世話に。旅行先で39度の熱が続き、現地の救急で検査を受けるも原因不明。帰ってきて近所の救急に直行したら扁桃炎、ということもありました。

熱性けいれんで救急へ

1歳クラス最後の日は、保育園でけいれんをおこし、迎えに行って救急へかつぎ込み。胃腸炎にかかって吐き、脱水をおこしたそうです。私もうつり、親子で点滴。ママは5日ぐらい下痢が止まらず、有給休暇を使いました。「親にうつる」というのも知らなかったです。

2歳の夏は、ヘルパンギーナにかかりました。急に熱が上がったため、また熱性けいれんがおきて救急に。このときから、けいれん止めの座薬を処方され、冷蔵庫に常備しています。37度5分以上になったら1回、熱が下がらなかったらもう1回。

なぜ必要なのかベテランドクターに聞くと、「体に負担がかかるし、できればけいれんはおこさないほうがいい。おきたときも薬を使ったほうがいい」との説明。私なりに納得しました。保育園では投与してもらえませんが、私のバッグに入れていますし、旅行のときも持っていきます。

登園したら発熱、すぐ呼び出し

その後、12月には遅い突発性発疹に。多くは1歳までになるという病気。数日間、高い熱が続いたあと、全身にうっすらと発疹が出て、初めてわかりました。インフルエンザやアデノウイルスの検査をして、原因がわからずドキドキ。

熱が下がってからも、うわさに聞いた通りの不機嫌でした。1月には「保育園に行ったと思ったら、発熱ですぐ呼び出し」ということが続き…。会社に電話、病児保育を探し、迎えに行ってママがけいれん止めを。クリニックと薬局に寄り、シッターさんにお願いして出勤しました。

子どもの病気については、対応も人それぞれ。自分の考えを持つことが大事だと思います。あるシッターさんに、高熱のときの解熱剤について「座薬はよくない。お母さんは医師の話をそのまま信じるんですか?」と言われて衝撃でした。

医療や薬、自分で選択

予防接種や食品も含めて、何事も100%安全ということはありません。「よくない」と言われても、看病でへとへとのママは、不安になるだけ。苦しんでいる子どもを前にして、すべて疑ってからというのは現実的ではないです。

私自身、代替療法も試していますし、無添加の食品が好きですが、「必要なら薬を使う」という考え。薬がないと生活の質が下がるケースや、命にかかわる症状で薬が必要な子もいます。知らずに会社や保育園で病気を流行させてしまったら困るので、診断を受けるのもマナーなんですよね。

もちろん、医療がすべて解決してくれるわけではありません。処方されて飲みきれない薬もあります。「娘が口から薬をとれなくて苦しんでいるとき、座薬の解熱剤がきいた」という経験を話し、理解してくれたシッターさんもいました。

このたび、娘は3歳になりました。ママも3歳。病気を経験するたび、親も心が強くなります。

この記事は、サポートを頼める人が少なく、子育てに慣れていなかった数年前の私が書いた。記録として当時の熱量のまま、内容を変えずに紹介した。医学的な治療や食品についても、その時に戸惑いながら選択したもので、これが正解という例ではないことを追記する。

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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