「103万円の壁引き上げ」で日本人の手取りが増える/トランプ政権で変化する世界情勢とマーケット
シンガポール在住FPの花輪陽子です。日本では扶養の壁をめぐる議論がなされています。
与党が手取りを増やす税金の「103万円の壁」を178万円まで引き上げをしようとしている中、社会保険の「106万円の壁」の見直しが報じられています。
日本では大きく税金と社会保険料の扶養があり、主に学生やパートタイマーの間で扶養の範囲に留めて就労しようというインセンティブが働いています。
学生の場合、原則厚生年金と健康保険の加入対象とならず、20歳以上の場合は国民年金と国民健康保険に加入となります。そのために、税金の特定扶養控除の扶養基準から外れる103万円を引き上げることによって、この壁が高くなり、よりフレキシブルに就労することが可能になります。
パートタイマーの場合は税金以上に厚生年金と健康保険の加入のハードルが意識されます。パートの自己負担分の一部を企業負担にするという案もありますが、公平性に欠けるのでどのような落としどころになるのか見守られます。
ちなみにnoteにシンガポールの扶養の事情を書きました。税控除がほとんどないシンガポールですが、配偶者、子供、親などを扶養している場合には一定の控除があります。しかし、その控除の範囲と金額は極めて少なく、配偶者控除の範囲で働こうというインセンティブは働きにくくなっています。社会保険の扶養という概念はありません。パートナーの必須の医療保険を家族が払ってあげるということはできますが、国や企業が払うということはありません。
その代わりに所得控除として2万ドル(約220万円)までは税金がかからず申告も必要ありません。お金持ちを優遇する国として例に上げられることが多い国ですが、低所得者にも配慮のある国なのです。
「106万円の壁」改正をめぐる混乱 シンガポールの扶養はシンプル
税金の減税が実現すれば所得増が見込まれて消費を喚起できる可能性も高く、人手不足解消にもつながりそうです。
社会保険に関しては第3号被保険者の廃止までは現段階では難しいでしょうが、社会保険の106万円の壁の撤廃をしてより多くの方が厚生年金に加入になれば、社会保険の財源が増えます。今後どのような形で決まるのか見守られます。
米共和党が大統領職と上下両院を掌握する「トリプルレッド」と財政問題
米共和党が大統領職と上下両院を掌握する「トリプルレッド」を達成したことで、米国の財政状況に関する警戒度が高まっています。
トランプ人事を見ると、保護貿易主義者であるライトハイザー氏が通商代表に打診されています。ライトハイザー氏は『No Trade Is Free』という著書を出しており、選挙前のトランプ氏の関税部分の公約も彼の主張と近いです。彼が通商代表に就くという報道がされて株価も下落しました。
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