「103万円の壁」123万円へ 恩恵を受けるのは誰?多くの人には小さな減税に! #専門家のまとめ
国民民主党は「103万円の壁」の見直しを主張し、所得税の基礎控除などの額を現在より75万円引き上げて、「178万円」にするよう求めていました。
自民、公明両党は19日、「年収103万円の壁」の見直しについて、「123万円」に引き上げて来年度の税制改正大綱に明記する方針を決めました。
今回、このテーマは国民にとって非常に注目され、議論されてきたテーマですが、そもそもの金額が小さかったり、中身を見ると全ての人が大きな恩恵を受けられるわけではなかったりとするようにも感じます。
ココがポイント
年収の壁123万円調整 経済効果は不十分? マーケットと為替のふりかえり(12/8-14)
エキスパートの補足・見解
25年分の所得から20万円控除が増えるという内容ですが、その中身を見ると、全ての人に恩恵がある基礎控除の増額は所得税で10万円に留まります。また、住民税の基礎控除は増えない予定です。
会社員の経費にあたる給与所得控除の最低保障額(55万円)を所得税と住民税で10万円ずつ引き上げる案ですが、会社勤めで給与所得が少ない人にとっては一定の恩恵はありそうです。
今回、特定扶養控除(年齢が19歳以上・23歳未満の人を扶養する親の控除額は63万円)を受ける際の子供の年収制限は150万円まで引き上がる予定です。このラインに合わせてくるのかと思っていたので、非常に残念でした。
企業でパートで働いている方、大学生などは壁が少し引き上がるのでもう少し働けるようになるかもしれません。大学生を扶養する親には恩恵はあるでしょう。しかし、多くの方にとって恩恵が大きく、経済効果が期待された基礎控除を大きく引き上げる案からは遠く離れているように感じます。
海外では毎年物価などに合わせてフレキシブルに控除を変える国もあります。限られた予算内では難しいかもしれませんが、今回だけではなく来年も議論いただきたいと感じました。