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周りの人に気をつかって疲れていませんか?【改善するための方法について解説】

周囲の人たちとうまくやっていくためには、周りの人に気を遣うことは、とても大切なことです。
でも、周囲からの自分の評価が気になって、気をつかい続けて疲れてしまっては、うまくやっていくことができなくなってしまいます。
このように周囲に気を使い過ぎてしまうことを過剰適応といいます。

そこで、この記事では、自分が周りの人に気をつかい過ぎるタイプ(過剰適応)かどうかを調べる方法、および過剰適応を改善させる方法について解説します。

周りに気をつかいすぎる過剰適応とは?

周りの人に合わせることができる人は、ほかの人との争いごとがなくて、協調性が高いため、人間関係がうまくできているように思われます。
でも、言いたいことを言えずに、やりたいこともやらずに我慢している場合には、「過剰適応」と呼ばれ、周りの人に合わせ過ぎて、ストレスフルな状態になります。

まじめな人や頑張り屋さんは、過剰適応になりやすいので注意が必要です。
だれでも他人に認められたい気持ちがあります。
人前で頑張っている人は、人に認められたい気持ちがあり、その気持ちが強いと、つい無理をして他人に合わせて、自分の言いたいことを我慢してしまいます。

周りの人に気をつかうタイプかどうかを調べる方法

周りの人に気をつかうタイプ(過剰適応)の傾向を調べる方法の一つに、交流分析のエゴグラムがあります。
交流分析とは、「対人関係を分析することで自分の性格傾向を理解できるようになり、対人関係を改善する方法を見つけるのに役に立つ心理療法の一つ」です。
エゴグラムは、「自分の中の5つの心の状態(自我状態)を分析する方法」です。
5つの心の状態(自我状態)とは、以下の5つになります。

  • 批判的な親(CP: Critical Parent):責任感が強い、批判的
  • 養護的な親(NP: Nurturing Parent):思いやりがある、世話好き
  • 大人(A:Adult):冷静で客観的に物事をみる、論理的
  • 自由な子ども(FC: Free Child):感情が豊か、好奇心がある
  • 適応的な子ども(AC: Adapted Child):協調性がある、遠慮がち

これらの中で「自由な子ども(FC)」の部分が小さく、「適応的な子ども(AC)」の部分が大きい人は、周りの人に気をつかうタイプであり、過剰適応傾向にあるといえます。

「自由な子ども(FC)」と「適応的な子ども(AC)」の質問項目を以下に示しますので、どの項目が自分にあてはまるかをチェックしてみてください。

自由な子ども(FC)

してみたいことがいっぱいあります。
気分転換が上手です。
よく笑います。
好奇心が強いほうです。
物事を明るく考えます。
茶目っ気があります。
新しいことが好きです。
将来の夢や楽しいことを空想するのが好きです。
趣味が豊かです。
「すごい」「わぁー」「へぇー」などの感嘆詞を使います。
(自己成長エゴグラムのすべて―SGEマニュアルより)

適応的な子ども(AC)

人の気持ちが気になって、合わせてしまいます。
人前に出るより、後ろに引っ込んでいます。
よく後悔します。
相手の顔色をうかがいます。
不愉快なことでも口に出さずおさえてしまいます。
人によく思われようとふるまいます。
協調性があります。
遠慮がちです。
周囲の人の意見に振り回されます。
自分が悪くもないのに、すぐあやまります。
(自己成長エゴグラムのすべて―SGEマニュアルより)

「適応的な子ども」の質問項目にあてはまる数が、「自由な子ども」の質問項目にあてはまる数より多ければ、過剰適応傾向が高いと考えられます。
周りに合わせすぎて、ストレスを感じているようであれば、「自由な子ども」のあてはまらない質問項目の中で、できそうなことがあれば、それらの項目を実践してみてください。
また、「適応的な子ども」のあてはまる質問項目の中で、その反対のことができそうであれば、それらも実践してみてください(周りの迷惑にならない程度に!)。

過剰適応を改善させる方法

過剰適応を改善させる方法には、いくつかありますが、ここでは2つ紹介します。
一つは、言いたいことが言えるようになるための方法(アサーション)、もう一つは「私はOKである、あなたもOKである」という心の状態を保てるようになることです。

言いたいことが言えるようになるアサーション

過剰適応傾向の人は、言いたいことが言えないことが多くあります。
言いたいことが言えずに我慢しているとストレスがたまってしまいます。
でも、言いたいことを相手に言ってしまうと、相手を不快にさせてしまうのではないかと気になりますよね!
そんな時は、相手を不快にさせないで自分の言いたいことを言えるようにする方法であるアサーションを使ってみましょう。

アサーションとは、相手を尊重することで相手を不快にさせることなく、自分の気持ちや意見を伝えるコミュニケーションの方法です。
相手の言動を否定しないで、相手の気持ちを理解していることを伝えた上で、自分の気持ちや意見を伝えるようにしましょう。

アサーションについて詳しく知りたい人は、相手を不快にさせずに自分の言いたいことを伝える【アサーションを用いた自己主張トレーニング】(外部リンク)の記事を見てください!

「私はOKである、あなたもOKである」という心の状態

交流分析では、自分や相手に対して以下の4つの「基本的な構え」があります。

  • 私はOKである、あなたもOKである
  • 私はOKである、あなたはOKでない
  • 私はOKでない、あなたはOKである
  • 私はOKでない、あなたもOKでない

「OKである」とは、「愛される存在である」、「価値がある」といった意味であり、「OKでない」とは、「愛される存在でない」、「価値がない」といった意味です。
この中で理想の基本的な構えは、「私はOKである、あなたもOKである」になります。
「私はOKである、あなたもOKである」という心の状態を保てるようになると、自分のことを愛して、認めて、許すことができ、相手のことも愛して、認めて、許すことができるようになります。

これらのことを実践することができれば、過剰適応の傾向がある人は、自分を大切にして、自分を尊重することができるようになり、自分の気持ちや意見を伝えることができるようになってきます。

まとめ

自分が周りに気をつかい過ぎるタイプ(過剰適応)かどうかを調べる方法、および過剰適応を改善させる方法について解説しました。

交流分析のエゴグラムを用いて「適応的な子ども(AC)」の部分が「自由な子ども(FC)」の部分より大きい場合には、過剰適応傾向が高いと考えられます。
過剰適応を改善させるためには、相手を不快にさせないで自分の気持ちや意見を伝えるアサーションを用いたり、「私はOKである、あなたもOKである」という心の状態を保てるようになることが大切です。

ほかのセルフケアについて、もっと知りたい方は、私のブログ記事【気をつかいすぎていませんか?】周りに合わせて疲れていませんか?(外部リンク)の関連記事を読んでみてください!
自分に合ったセルフケアで、もっと楽で疲れない生き方になることを願っています。

心療内科専門医・総合内科専門医のよっしーです。心療内科医として20年以上、大学病院で15年以上患者さんを診察してきました。大学では教授として研究や学生の教育も行っています。より多くの人たちのお役に立てるような心と身体の情報を発信しています。健康な人にとっても病気の予防にも役に立つ効果的な治療法(セラピー)の情報やその実践法についてもわかりやすく解説しています。

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