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ノート(201) 検察による弁護側の法廷弁護技術に対する分析と検討

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~尋問編(7)

受刑193/384日目

ブレインストーミング

 裁判員制度開始に向けた検察の研修では、弁護側の法廷弁護技術を分析し、利点や欠点を見いだし、検察側の主張・立証手法を磨くことに時間が割かれた。「彼を知り、己を知れば、百戦あやうからず」ということだろう。

 教材は米国で陪審制の実情などを学んだ若手検事による研究論文が使われ、刑事弁護の高みを目指す弁護士必読のテキスト類も参考資料となっていた。例えば、英米の法廷で活躍したキース・エヴァンス弁護士の著書「弁護のゴールデンルール」や、日本弁護士連合会が編集した「法廷弁護技術」などだ。

 これらによると、法廷での弁護は、その準備段階である証拠や事実に関するブレインストーミングから始まる。すなわち、弁護団は、検察側から証拠の開示を受けると、まずは細部にわたって徹底的に分析した上で、弁護団会議で英知を結集し、意見を出し合い、証拠や事実の中で有利なものと不利なものとを数多く拾い上げ、順位をつける。

 その際に重要なのは、弁護側の視点のみならず、検察側の視点にも立って検討すべきだという点だ。確かに検察でも、ある上司から「検察官は、自分が弁護人だったらどう考え、どう行動するかといったことを常に頭に置きながら、捜査し、公判活動を行え」「厳しい結果が出た時こそ、熱くならず、被疑者・被告人の弁護人の立場に身を置き、冷静に証拠を見よ」と指導されたことがあった。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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