【四條畷市】市内で“サンタ像”が増加中 一体、誰がなぜ?
四條畷市内を歩いていると、気付かされることがあります。それは、様々なところに置かれているサンタクロース像の存在です。色や模様は違えど、姿かたちは皆同じ。しかも、その数は次第に増えています。一体、誰がなぜサンタ像を増やしているのでしょうか。気になるので調べてみました。
その仕掛け人は、市内出身の絵本作家、谷口智則さんです。
谷口さんは1998年に絵本制作を開始して以降、「100にんのサンタクロース」や「サルくんとバナナのゆうえんち」(ともに文溪堂)など、数々の絵本を世に送り出しています。
2012年に四條畷市から観光大使に任命されたのを機に、「観光面で街に貢献したい」と考えて自らのギャラリーショップ「gallery & cafe Zoologique」を四條畷神社の一の鳥居近くにオープンしました。ファンの人々が各地から訪れましたが、「近くに神社がありますよ、と勧めても、店に来てそのまま帰ってしまう方が多かったんです」(谷口さん)。谷口さんの中に、四條畷を訪れた人々に市内を巡ってもらうにはどうすればいいのか、という問題意識が生まれました。
2015年、谷口さんは商業施設の依頼を受けて、「100にんのサンタクロース」に登場するサンタをモデルにしたFRP(繊維炬火プラスチック)製の像を8体製作します。商業施設のクリスマスイベントで使用するためでした。ところがイベント終了後、商業施設側から「サンタ像を廃棄するかお返しするか、どうしましょうか」と相談された谷口さんは、「捨てられるくらいなら」と8体を引き取り、自らの店の前に置いた他、公共施設やなじみの店などに頼んで置いてもらいました。
その後も同じようにサンタ像の製作依頼を受けた谷口さんは、「どうせなら、絵本と同じ100体を目指そう」と考えるにいたり、市内にサンタ像を100体設置する「100にんのサンタクロースプロジェクト」が始まりました。
様々なところにサンタ像を配置することは、訪れた人々に街の魅力を伝える契機になる、と谷口さんは考えています。「四條畷は山が近いことが魅力の1つ。山は季節によって表情が変わるんです。また、路地が多くて趣きもあります。サンタクロースを訪ね歩きながら、そうした魅力にふれてもらいたい」。
同プロジェクトでは現在、もっぱら市内で営業する店などからの依頼を受けてサンタ像を製作しています。これまでに設置した像の数は、取材した3月2日現在で75体。大阪・関西万博が開かれる2025年までに100体を達成したいそうです。
今回の取材で、「サンタ像がなぜ市内にたくさんあるのか」という数年前から抱いていた疑問が解消され、スッキリしました。今後、サンタ像が100体に近づいていく様を追っていきたいと考えています。