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「小1の壁」学校の大量プリントが読解できない・連絡帳に宿題も

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
小学校のプリントを読解するのは一苦労(ペイレスイメージズ/アフロ)

小学校に入ると、親も子も、毎日の支度に必死です。4月につかんだ学校や学童保育のペースが、10連休でリセットされたかもしれません。昨年、娘が入学した筆者は、学校と学童保育のダブルケアに仕事が重なり、体調を崩しました。今回は、配布される大量のプリントや、学校との連絡について考えます。

●「撮影して捨てる」派も

今年も入学式の季節は、ツイッターで悲鳴が多かったですね。「プリントの量が多すぎる」「必要な情報が探し出せない」「電子化して!」など。子どもを思うからこそ、保護者は頑張ってしまいます。入学時は、持ち物やスケジュールのプリントを撮影し、同じクラスかつ保育園が一緒だった母親のグループラインに入れておきました。

プリントを持ち帰ったらとりあえず、リビングに置いている娘のロッカーに立てます。提出するものは手前に。時々、整理してイベントやサークル活動の宣伝は、「行くかな」というもの以外は捨てました。それでも年度末、プリント整理だけで何時間もかかってしまいました。A4サイズのファイルは、学校・学童・学習したものと分けて3冊がぱんぱんになりました。

周りにどうしたか聞いてみると、「スマホ撮影して捨てる」「見たら捨てる」という保護者もいました。2年生は、プリント対処も楽になるかと思ったら、4月だけで40枚以上ありました。

●情報が読み取れない!

それと、皆さんが言うように、学校のプリントって大事なポイントが読み取れないんです。「同じテーマでも、プリント何枚かにわたって少しずつ情報が入っている」「プリントの裏の、一番最後に大事な連絡が書いてある」などということが多いです。

必死に、プリントを読み込んでいた入学時。今は、ボーっと読み流す中で「アレ?」って思ったところに赤線して、他の保護者に確認します。読解のコツは、考えないことです。

2年生になって持ち物プリントを見ていたら、今まで持って行っていない「折り紙」という単語に気づきました。ラインで質問し合う保護者もいましたが、「これはすぐには使わないかな」と思い、連絡帳に「わからなかったので持参しません」と書き、後日、買いに走りました。

別のプリントには、「ホチキス」「赤青鉛筆」がいると書いてあり、また「アレ?」です。両側に赤・青のある、懐かしいえんぴつ。2年生から、青は何に使うのかな。また100円ショップと文具店に走りました。

●いきなり通告、文具店は遠い

このように、学校に持っていく物はある日突然、わかりにくいプリントで通知されます。ところが、近所に文具店がなく、保護者から不満の声が上がっています。スーパーの文具売り場では、低学年のノートは売り切れ。一番近い文具店は、歩いたらかなり時間がかかるし、日曜日は休み。ネット通販は、他の商品はすぐ配送されるのですが、ノート1冊がなかなか届かず、高くついたこともありました。

筆者が、たまたま出かけた先で赤青鉛筆を買ったお店は、本体は洋品店なのだそう。地元小学校の校長に言われて、文具を置くようになったとか。ある男子の母は、よくなくす消しゴムを箱買いしています。筆箱に入るサイズが、近所で買えないと困りますからね。

2年生の新しいトピックとして、ランドセルが重くなりすぎることから、プリントに「学校に、〇〇と〇〇と〇〇の教科を置いておきます」とありました。それも見逃すところでしたが、保護者会で知らされていた情報だったので、目が留まりました。娘は持ち帰ってきてしまい、これも連絡帳で聞きました。

●学童保育とダブル連絡帳

通常のプリント以外に、入学式の後は、保健カードや児童状況などに、赤ちゃんの頃からの予防接種の日付を記入しなければならず、頑張りました。2年生時も追加記入がありました。翌々日が締め切りだったので、1日おいていたら、娘が「みんな持ってきてたよ」と言います。筆者は「忙しいおうちもあるし、みんなじゃないでしょ」って突っ込みながら、内心は「私、遅かった?」と焦りました。

また、大事な情報源である学校の連絡帳は、1年生の1学期は、親と先生のやりとりです。聞きたいことを書いても、先生は30人以上を見ているので、解決につながる返事がない日もありました。毎日、保護者のサインを忘れないかプレッシャーも大きかったです。2学期からは子どもが書いてくるため、それはそれで読解が大変な家庭も。周囲の親子に聞くと知恵が集まり、だいたいわかります。

学校だけでなく、学童保育に行っている場合は、プリント・連絡帳もダブルです。学童の連絡帳は、何もなければ書きませんでした。けれど、行事やケガのお知らせもありますから、油断できません。

学童保育は、毎月の「延長利用予定」が手書きです。やはり、電子化してほしいという声も多かったですね。民間学童はネット入力なんですが。

●宿題は保護者の仕事?

宿題は、1年生の4月半ばにさっそく始まります。最初は何だっけと思い返してみると、ひらがな書きから始まりました。簡単な「つ」「く」「し」が、最初です。

今どき、先取り学習をしている子は多いですし、娘もひらがな・カタカナは保育園で使いこなし、手紙を書いたり絵本を作ったり自由自在でした。

ところが、表現したい気持ちが走ってしまうので、学校のひらがなをしっかり書くのに、初めは戸惑っていました。「もうできちゃうから」と思っても、止め・はねが厳しい先生もいますし、そこは一からです。

家庭で丸つけして、しばらくするとファイルに綴じて持ち帰り、おさらいチェックに親もサインしました。

1年生の保護者会で、「宿題は学童保育などで自主的にやるのに任せず、保護者が見ましょう」とくぎをさされていました。過保護にしているわけではなく、学校のあれこれは、保護者の仕事なんです。

●抜け落ちても気にしすぎない

筆者は娘が1年生時、学校・学童のプリントや連絡帳と宿題のサイン、持ち物の用意が追い付かず、パニックでした。やったつもりで抜けていて、「育児は向いてないのかな」と落ち込みました。きょうだいのいる保護者に聞くと、「何か抜け落ちたら、ごめんなさい」というスタンスだそうで、それもいいかもしれません。

入学してまもなく土曜授業があり、子どもの心身に気をつけながら週6日の送り出し。学童保育でお弁当がいる日も。そこに急な仕事が入ってしまい、アラフィフの母親にはハードすぎて発熱、せきが長引きました。「小1の壁で」というと、娘が体調を崩したのかと思われたけれど、娘は元気でした。春休みに、学童保育に疲れて一瞬、熱が出たものの、すぐ下がって入学式も出席しました。

働く保護者や高年齢出産の親は、入学時は無理しすぎないスケジュールを心がけるといいかもしれません。家事や育児の担い手が倒れたら、家族も自分もかわいそうです。「親も子も、慣れないことをしていて、エネルギーがいる」と知っていてくださいね。

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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