【約6000字】多くの人が知らない質問の種類と役割 コーチングやヒアリングに役立つテクニック集!
■なぜ質問の種類と役割を知るべきか?
傾聴の時代だ。共感の時代だ、と言われる。
優れた個人よりも、賢いチームのほうが成果を出す時代になったからだ。
そのせいだろう。質問力をアップしたいと考えるビジネスパーソンが増えている。質問力をアップすることで傾聴力や共感力。それにコーチングやヒアリング、アンケート作成にも役立つからだろう。
それでは質問力をアップするために、何からスタートしたらいいのだろうか。まずは質問の種類と役割をしっかり頭に入れるべきだと私は思っている。
どんな目的で質問をするかによって、どの質問スタイルを選ぶべきかが変わってくるからだ。
それを間違えると、コーチングしたいのに相手を混乱させたり、相手の情報を引き出したいのに相手を怒らせたりしてしまう。料理と同じだ。ラーメンを作りたいのに砂糖を入れたり、アイスクリームを作りたいのに油で揚げてはいけない。
それでは質問にはどんな種類、役割があるのだろうか。それを考えるためにも、まずは人が質問をするときのシーンを思い返してみよう。
・答えを知りたいとき
・疑問を解消したいとき
・相手の頭を整理させたいとき
・相手の思考を誘導したいとき 等
ざっと書いただけでもこれぐらいある。おそらく、もっともっとあるだろう。
だから、もしも質問力をアップしたいなら、まずは質問の種類と分類をしっかりと頭に入れるべきなのだ。
今回は、質問の種類や役割を細かく紹介し、例文を含めて解説した。最後に、多くの人が知らない質問の「重要な機能」も記した。
普通は質問しないところを、あえて質問スタイルに変化させることで、相手の意識を変える質問の重要な機能だ。
他者に軽く扱われないためにも、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
■質問の基本スタイルと素材
それでは、質問の素材やスタイルの特徴をまず頭に入れよう。名称と役割・機能、そしてカンタンな例文を書いておく。参考にしてもらいたい。
○拡大質問(オープンクエスチョン)
自由に答えられる質問。さまざまな情報を引き出すことができる。新たな気づきを生み出しやすい効果もある。
(例:どんな料理が好きですか? これは何のための会議ですか?)
○限定質問(クローズドクエスチョン)
「はい」か「いいえ」で答えられる質問。確認や誘導でも使われる。
(例:お子さんはお二人ですか? 環境にいい車のほうが売れると思いませんか?)
○過去質問
過去に起こったことを対象にした質問。相手の人となりを知るときに使いやすい。
(例:いつその大学に入ったんですか? バンドでどんな演奏をしていたんですか?)
○未来質問
未来に焦点を合わせた質問。相手の考えや価値観を知るときに使える。
(例:課長になったら何をしたいですか? 今後はどんな国に旅行したいですか?)
○肯定質問
ポジティブな答えを引き出すことができる質問
(例:どうしたらうまくいくと思いますか? 何が魅力的だったのですか?)
○否定質問
ネガティブな答えを引き出すことができる質問
(例:どんなご苦労があったんですか? いちばん大変だったのは何ですか?)
「オープン/クローズ」「過去/未来」「肯定/否定」と、このように二項対立の切り口で質問を分類した。
次に、これらを組み合わせたり、味付けを変化するとどうなるのかを考えてみたい。
■あえて質問スタイルに「しない」ほうがいい表現とは?
質問の基本素材やスタイルを知った。もちろんこのままでも使えるが、組み合わせを変えたり、味付けを変化させることで質問の役割・機能を変えることができる。次はいくつかの代表的なパターンを確認していこう。
まずは「責める」目的の質問だ。「褒める」「承認する」のに質問のスタイルはとらないが、「責める」にはある。答えはわかっているのに質問することで、「責める」強度がアップする。
できれば使わないほうがいい質問スタイルだ。
○責める質問<オープン+過去+否定>
過去に起こったことを責める調子で質問すると「詰問」になるので要注意!
(例:なぜちゃんと報告しなかったんだ? そんなやり方、誰から教わった?)
○責める質問<オープン+未来+否定>
未来に焦点を合わせても責める調子で質問すると「詰問」になるので要注意!
(例:いつまでこんなこと続けるんだ? 本当に来年にはできるようになるのか?)
○責める質問<クローズ+過去+否定>
クローズドクエスチョンで責めると、嫌味が増す。
(例:うまくいかなかったのは私のせい? それでうまくいくと思ったの?)
どうだろう。読むだけでツラい気持ちにならないだろうか。
無意識のうちに、質問スタイルで誰かを責めていないか。愚痴をこぼすときも次のように、
「どうして旅行の日に限って雨が降るんだ?」
と、ついつい質問スタイルを使ってしまう人は要注意だ。質問することで怒りの強度が上がったり、ネガティブな気持ちが膨らんだりするケースがある。積極的に使わないほうがいいだろう。
■あえて質問スタイルにしたほうが「いい」表現とは?
反対に、質問のスタイルをとったほうが柔和な感じになる表現もある。
代表的なのが「依頼する」ときに使う質問だ。「出席してくれ」「とってください」といった表現ではなく、あえて語尾を質問スタイルにする。そうすることで、柔らかいニュアンスの味付けになる。
実際に例文を見てみよう。
○依頼質問<クローズ+肯定>
肯定質問で依頼することで、相手に選択の余地を与える。
(例:明日の商談に出席してもらえますか? 本をとってくれますか?)
○依頼質問<クローズ+否定>
否定質問にすることで、さらに柔和なニュアンスになる。
(例:この資料を印刷してもらえませんか? 事務所に行ってくれないか?)
意識せず使っている人が大半ではないだろうか。
依頼なので、相手の反応は「イエス」か「ノー」である。だからオープンではなく、クローズドクエスチョンを使う。
状況に応じて積極的に使いたいスタイルだ。
■相手に意識を刷り込む質問
ここからは、質問の重要な機能について解説したい。質問の重要な機能とは何か? それは、相手の意識を変える機能だ。
もともと意識をしていないことを、「回答範囲を狭くする限定質問」を使うことで新たな意識を植え付けることができる。
わかりやすい例を書こう。
「最近、課長って元気がないよね?」
と言われたら
「え? そうかな」
と言いつつも、
「課長の元気がない部分」を無意識のうちに探してしまうものだ。
「言われてみると、この前も表情が暗かった気がする」
このように思い込んでしまう。
質問することで、新たな意識を植え付けてしまうのである。
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