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「謝罪も反省もなし」 禁錮22年半となった元警官と母親の“あきれる発言”に非難轟々 フロイドさん事件

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
禁錮22年半が言い渡されたショービン被告は、判決に先立ち謝罪をしなかった。(提供:代表撮影/ロイター/アフロ)

 元警官のデレク・ショービン被告に膝で9分間以上にわたって首を押さえつけられ、その後亡くなったジョージ・フロイドさんの暴行死事件で、米ミネソタ州ミネアポリスの裁判所は6月25日、有罪評決が下されていたショービン被告に22年半の禁錮刑を言い渡した。

 その様子はテレビでもライブ中継されたが、言い渡しに先立ってショービン被告とショービン被告の母親がした発言に非難の声が集中している。ツイッターでは“No remorse”、“No apology”など「ショービン被告もショービン被告の母親も全然反省していない、謝罪していない」という投稿が多数あがっている。

 以下が、ショービン被告のした“問題発言”だ。

「追加的な法的手続きがあるので、現時点では完全に正式な発言はできません。しかし、非常に手短ですが、フロイドさん一家にはお悔やみを申し上げたい。興味深い別の情報が先々出てくるでしょう。みなさんに何らかの心の平安を与えられることになったらいいなと思います」

空気が読めていない

 ショービン被告のこの発言について、米紙NYデイリーニュースは「デレク・ショービン、ジョージ・フロイド殺人に対する量刑言い渡しに際して、遂に話し、信じられないコメントをする」というタイトルで、同被告の発言に対する法律のエキスパートの見解を紹介している。

 元検事で、ミシェル・ハムライン法学大学院名誉教授のジョゼフ・ダリー氏は同紙で、「空気が読めていない。フロイド一家をなんとか慰めたいという気持ちがあるのであれば、哀悼の意を伝えて、許しを乞い、ただ沈黙すべきだ」とコメント。

 ショービン被告は発言の中で今後新情報が出てくることを示唆しているが、それについてもダリー氏は量刑言い渡しの場ですべき発言ではないと批判している。

「彼の発言は警察側が彼を適切に訓練していなかったことに関する新情報と関連があるのかもしれない。しかし、彼はなぜそんなことをあの場で言うのか? 彼は自分がしたことを後悔しているのか。彼はいつも冷たい感じだった。たぶん、思いやりを示す能力がないのだろう。明らかに、フロイドさん一家には平和はもたらされていない。フロイドさんは亡くなったのだ。たとえ、被告が許しを乞うたとしても、フロイドさん一家には平和はもたらされない」

全然反省していない

 ツイッターでも、ショービン被告に対する非難の投稿が殺到している。

「ショービンは反省していない。彼には最高刑が科されるべきだ」

「心がこもっていないお悔やみの言葉を発したが、全然反省していない。ショービンを投獄せよ」

「ショービンの言葉、あれだけ? えっ? 全然反省していない」

「ショービンの発言に怒って、テレビに向かって叫んだよ。フロイドさん一家や友人たちが、反省のないショービンの言葉を聞いて、今、どんな気持ちでいることか」

「ショービンは終身刑に服すべきだ。彼の目には反省の色がなく、救い難い」

「ショービンはフロイドさん一家に哀悼の意は告げたが、謝罪はしなかった。彼は、何も悪いことはしなかったと思っているんだろう」

「ショービンは上訴を考えているんだろう。謝罪をしていない」

母親は“息子は良い人間だ”と発言

 批判はショービン被告の母親にも向けられている。

 法廷では、量刑言い渡しに先立ち、母親のキャロリン・ポレンティさんも発言したが、その中で、ポレンティさんはフロイドさん一家に対して何の言葉もかけることなく、終始、息子をかばう発言に徹したからだ。

「メディアや検察側が、デレクが攻撃的で、心がなく、人のことを思いやっていないと言うのは聞くに耐えなかった。それは事実からかけ離れている。息子は人種差別主義者扱いされた。これらのことはみな事実ではない。息子は良い人間だ。あなた方が息子に量刑を与える時、あなた方は私にも量刑を与えることになる。私はデレクにあったり、電話で話したり、ハグしたりすることができなくなる。それに、彼が出所する時は、彼の父親や私はおそらくこの世にはいない」

 この発言に対し、ツイッターでは、

「ショービンの母親の発言を聞いて、ショービンがどうして反省の気持ちや思いやりがない人間になったかがわかったわ。彼の母親の発言を聞いて気持ちが悪くなった」

「母親も、ショービンのように、フロイドさん殺しの背後にいる悪に対して反省していない」

「ショービンの母親の発言に激怒したよ。母親はあの動画を見なかったのか。フロイドさん一家に謝罪もせず、息子の無実をただ主張し続けるとは」

 ショービン被告は上訴すると見られているが、謝罪をせず、反省の色も見せなかった同被告に対し、世論はもっと厳格な量刑がふさわしいと考えているようだ。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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