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2022年度予算案、過去最大規模になったワケ。「財政出動」のカラクリに迫る

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
2022年度予算政府案を閣議決定した岸田文雄内閣。年初の通常国会での審議に臨む(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

一般会計歳出総額が107兆5964億円と、過去最大規模となった2022年度予算政府案は、12月24日に閣議決定されて、2022年初の通常国会に提出され審議される。

過去最大規模となったということは、岸田文雄内閣は、それだけ「財政出動」に舵を切ったのだろうか。

2022年度の歳出総額は、2021年度の106兆6097億円と比べて、9867億円増えた。どの予算費目が増えたかをみてみよう。

通常良く用いられる主要経費別分類でみると、最も増えた費目は国債費、つまり国債の元利返済費である。2021年度と比べて、5808億円増えた。これで、歳出総額で増えた分の約59%を占める。

増えた国債費のうち、債務償還費が2021年度と比べて9008億円増えた。つまり、国債の元本を返済するための費用が、前年度よりも約9000億円増えたのである。

金利がほぼゼロだから、今のうちに多く借金をしても心配ない、といえども、国債残高が増えれば、その返済費用はかさむ。

国債の返済スケジュールは、60年償還ルールとも呼ばれる。前年度期首国債総額(額面金額による残高ベ-ス)の100分の1.6(=1.6%=約60分の1)を、一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れることとなっている。これは、定率繰入とも呼ばれ、特別会計法第42条第2項に基づいている。この債務償還費の大半は、定率繰入によるものである。

2020年度と2021年度には、新型コロナウイルス対策のために大量の国債を増発した。これに伴って国債残高が増えたことから、前述のように債務償還費が増えたのである。

5808億円増えた国債費のうち、債務償還費が9008億円増えたとなると、その差額はどうなっているか。その差額のうちは、2563億円は利払費の減少である。国債金利が高かった頃に発行した国債が、年々返済されていく一方、ほぼゼロ金利で国債を発行できていることから、利払費が少しずつ減っている。

ただ、債務償還費の増加額は、利払費の減少額を上回っており、金利がほぼゼロで国債が発行できるという恩恵は、元本の返済というコストよりも小さい状態にある。

このように、2022年度予算案が過去最大規模といっても、その増加分の約6割は、国債費の増加で占められている。

では、国債費以外の歳出で、「財政出動」に舵を切った形跡は伺えるだろうか。2022年度予算案には、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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