年末年始の鉄道帰省、JR予約61%減 コロナでも帰るべき? 帰るならどうすべき?
この正月は、帰らないという人も多いだろう。東京都や大阪市、札幌市では新型コロナウイルスの感染者が増加し、死者も増加している。経済活動が再開し活発になる、ある意味「GoToキャンペーン」のように無理やり回していく中で、感染拡大が広がっていく。もっとも、みんながみんなこういったキャンペーンに乗るわけではない。安く旅行をしたり飲食をしたりしようとする層を中心に、お得なものとして広がっている。旅行や飲食の関連業者を救済するために行われたこれらの政策が、最近の感染拡大傾向の一因となっていることは否定できないだろう。
GoToで動く人よりも、本来ならばもっと多くの人が動くのが年末年始の帰省である。しかし新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、はたして帰省をするのがいいかどうか、という状況にもなってきた。
この年末年始、どう動くべき?
年末年始は、都市部での鉄道の風物詩である終夜運転も多くの事業者で中止となり、伊勢神宮への参詣輸送で年明けてすぐの深夜もフル稼働だった近鉄でさえ行わない。いったん終夜運転をやるとしていた大阪メトロも、感染拡大の状況を受けて中止に。関東圏でも一部を除き行わず、行うところも感染拡大の状況によっては中止の可能性があるという判断を示している。
多くの人が自宅にこもることになるこの年末年始、終夜運転に乗って出かける人も少なく、また地方の実家に帰省する人も少ない、ということになるだろう。
帰省をしない、あるいは迷っている人が多い証拠に、この年末年始のJRグループの指定席予約状況は9日時点で前年同期比61%減ということになっている。
今年のゴールデンウィークやお盆のシーズンは、多くの人が感染拡大を気にして帰省や旅行をしなかった。ゴールデンウィークの時期は「緊急事態宣言」が発令されており、世の中全体で移動が行われない状況になった。そのため前年同期比で輸送状況は大きく悪化した。
「緊急事態宣言」が解除された夏休みには状況はよくなったものの、まだ感染拡大の危険性が収まったわけではなかった。政治の側が油断していた中、業者救済策として「GoTo」キャンペーンが始まり、一方で感染拡大の状況は「緊急事態宣言」のときよりもはるかに悪化している。
そんな中、年末年始に帰省をしないという判断をしている多くの人たちは、たいへん正しい判断をしているといえる。鉄道は換気と除菌をていねいに行い、安全であることはわかっていても、鉄道の外が安全とは限らない。また感染拡大傾向のひどい都市部から地方への移動が帰省先の人、とくに高齢者に影響を与える可能性は大きいといえる。
しかしどうしても帰省しなくてはならない人はどうするか、という問題も出てくる。
帰省の際の注意事項は?
先日、『週刊大衆』(双葉社)の記者から取材を受け、帰省のきっぷを買う際にどんなことに気をつけたらいいか、ということを質問された。回答の一部を適宜紹介したい。
まずは多くの人が移動しそうな時間帯や、日にちを避けることである。列車は定期列車だけではなく臨時列車も視野に入れて選ぶ。予約はネット予約で行うようにし、シートマップを確認しながら席を選ぶ、といったところだ。
一人で帰省するなら通路側に人がいない窓側の席を確保する。そうすると、わざわざ通路側に座ろうとする人は、混雑時を除きいない。とくに新幹線の窓側E席がおすすめだ。家族で帰省するなら、早めに予約し、席を固めて座るようにする。新幹線普通車なら2人席、3人席を上手に使う。
混雑しない時間帯や列車を選び、その列車に乗ろうとすることが大事だ。ふだんの帰省より早い日に実家に帰り、遅い日に自宅に戻るようにすれば、混雑は避けられる。
もし帰省するなら、列車の予約はなるべく早くしたほうがいい。確かに全列車満席になるような事態は想定できないが、いい席を確保するためには早いうちに行動するのが妥当だろう。
帰るべきではないというのが現在の社会情勢から判断できるものの、それでもという事情がある人には、いろいろと策を考えながら帰省していただきたい。