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Meta Platforms(旧Facebook)による商標権大人買いの条件が一部明らかに

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:Meta Financial Group年次報告書

旧FacebookがMeta Platformsへの社名変更に伴い、ダミー会社を経由して”Meta”関連の商標権を購入していた件について先日書きました

購入の条件については当事者以外には不明と書いたのですが、売却元の一社のSECへの報告書により売却条件の一部が明らかになりました(参照記事)。売却元は、Meta Financial Groupというサウスダコタ州の金融機関です。売却額は6000万ドル、「メタ・フィナンシャルとその子会社のメタバンクは、今後1年以内に社名とすべてのブランド名からメタを削除しなければならない」との条件があるそうです。(過去記事では、ライセンスバックにより(旧FacebookのMetaと競合しない限り)商標の継続使用はできるのではと書きましたが、そうではなかったです)。また、同行は、ダミー会社(Beige Key LLC)がFacebookの関連会社であることは認識していたとのことです(まあ普通に類推すればお察しでしょう)。

Meta Financial Groupを出願人とする現在有効な登録商標はMETA(3072040)とMETA FINANCIAL GROUP (3042813)の2件です。この2件で約68億円ということでしょうか?米国特許商標庁の記録上はまだ移転が行われていませんが、譲渡契約済で移転登録待ちの状態と思われます。

Meta Financial Groupの年次報告書によると、同行2020年度の純利益は約1億500万ドル(日本で言う地銀の規模)なので、商標権2件の売却益だけで利益が約60%増加することになります(もちろん、社名とブランド変更のコストを考慮する必要がありますが)。

金に糸目はつけずMeta商標を確保しようという旧Facebookの意気込みが感じられますが、既に譲渡済のものはよいとして、これから起こるであろう商標権問題の解決にはさらに費用がかかるでしょう。たとえば、以前の記事で紹介したMeta PC社は、2000万ドルの売却価格を提示したと伝えられていますが、今回のニュースを知ってもっとふっかけてくる可能性はあるでしょう。とは言っても、年間の利益が3兆円を超える旧Facebookにとっては大した金額ではないと思いますが。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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