2020東京オリンピックは呪いがかけられているのではないか
フーテン老人世直し録(222)
皐月某日
2020年の東京オリンピックには呪いがかけられているのではないか。
招致活動の先頭に立ち招致を成功させた猪瀬直樹前東京都知事は「政治とカネ」で失脚し、その後に就任した舛添要一現都知事もまた「政治とカネ」で世論の糾弾を浴びている。
オリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場の建設計画とエンブレムのデザイン案は白紙撤回されるというお粗末劇があり、また森元総理が組織委会長を務めることから米国メディアに「ヤクザ・オリンピック」と報道され、今度は招致を巡る日本の買収工作にフランスの捜査当局がメスを入れようとしている。
これまでの経緯を整理する。オリンピック東京招致が決まったのは2013年9月である。その前年の12月に東京招致を言い出した石原慎太郎東京都知事の後継指名を受けて猪瀬氏が立候補、個人で史上最高票を獲得して都知事に就任した。
その選挙の際に猪瀬氏は医療法人徳洲会から5千万円を受け取る。徳洲会の徳田虎雄氏と石原氏は盟友関係にあり、息子の徳田毅衆議院議員から猪瀬氏は議員会館で現金5千万円を受け取ったのである。そして猪瀬都知事が誕生した同じ日に衆院選で自民党も政権に返り咲き、第二次安倍政権が誕生した。
オリンピック招致に積極的だったのは猪瀬知事だけではない。安倍政権もアベノミクス「第四の矢」として招致に全力を挙げた。英国の「ガーディアン」紙は2013年7月と10月に日本の銀行からシンガポールの「ブラック・タイディング」社に2億2千3百万円がオリンピック招致の名目で振り込まれ、そこには電通の名前もあると報道した。
この「ブラック・タイディング」社はオリンピック招致を決めるIOC委員で国際陸連前会長の息子と関係があり、フランスの司法当局は贈収賄の疑いで捜査を進めているという。これに対し日本オリンピック委員会はその会社が業務契約に基づく正式なコンサルタントだと発表した。ところがテレビで見る限り「ブラック・タイディング」社は個人のアパートの一室を住所とする典型的なペーパーカンパニーである。
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