【レース中にエナジージェルって摂った方がいいの?】どういう人が摂るといいの?どのくらい効果があるの?
マラソンのときに、エネルギーを補給するためにエナジージェルを摂取するランナーは多いと思います。様々なメーカーから発売されているマラソンの完走セットには、BCAAや塩サプリとあわせて、エナジージェルが同包されています。ですがマラソンを走るとき、本当にこのエナジージェルは摂ったほうがよいのでしょうか。それにはどの程度の効果があるのでしょうか。2023年のアメリカの文献を紹介します。
1.速く走る時ほど、エナジージェルは必要
ランニングの場合、特に全力に近いペースで走ると、脂肪ではなく主に糖分が分解されます。
エネルギー源が糖分主体であった場合、約32kmまたは1.5-2.0時間で体内の糖分の貯蔵量は枯渇するともいわれています。ですがゆっくりペースの場合は、相対的に脂質の使用率が上昇するため、終盤になっても糖質が枯渇しません。エナジーエルはとくに、頑張って速く走る場合に必要であることが分かります。
2.長距離適正がない人や、練習不足な人ほどエナジージェルは必要
そして糖質の分解速度には個人差があり、速やかに糖分を分解して力強い運動ができる代わりにすぐエネルギーが枯渇する人と、ゆっくり糖分を分解してパワーは出せないものの長く運動を持続できる人がいます。前者はスプリント競技、後者は持久力競技に向くわけです。
文献では糖質の分解速度である最大乳酸生成率(VLa max)ではなく、乳酸の耐容量の乳酸容量(VLa)で分類をしていますが、これがよいと同じ速度で走っても糖質の利用率が抑えられることが分かります。いわゆるLT走などのトレーニングをすることで、糖質の利用を抑えることができるのです。そんな練習ができていない時やもともと長距離適正がないランナーは、糖質の貯蔵が早く枯渇することが予想されますので、エナジージェルをしっかり摂った方がよいでしょう。
3.結果エナジージェルの効果は?
ランニングによって、1kmあたりおおよそ1kcal/kgのカロリーを消費するというのは有名な話です。なので100kcalのエナジージェルで1.5kmくらい走れる距離が延びると考えるのが一般的な話です。ですが、計算してみると違うようです。
文献では実証ではなく、こんな数式を用いて計算をしています(自分も数式の意味はほとんど分かっていません)。練習をしっかり積んだVLaの良いランナーと練習を積んでいないランナーが、エナジージェルを摂取するかしないかに分けて計算しています。
結果は準備や練習によっても異なりますが、40kmを持ちこたえるランナーを平均とすると、エナジージェル1個でエネルギーの貯蔵が枯渇するのを6-700m延長するとの結果でした。4個でおおよそ2.5kmです。これが大きいと考えるか小さいと判断するかは、個人で見解がことなることでしょう。
4.結論
しっかり練習を積んでいて、VLaが優秀なランナーは摂取する意味合いは低いかもしれません。またゆっくり走行する場合も、必要性は低そうです。ですが持久力に不安があって練習も不足している、また自己ベストを目指して速いペースで走りたいランナーは、摂取する価値がありそうです。